映画『猫侍』ネタバレなし感想・評価|コワモテ剣豪×白猫。ただ「萌える」だけじゃない、シュールすぎる癒やしの時代劇【レビュー】
「猫を斬れ」という依頼を受けた、浪人の斑目久太郎。しかし、その瞳に見つめられた瞬間、剣豪は骨抜きにされた…。北村一輝の「顔芸」と「猫」の可愛さが炸裂する、異色の時代劇コメディ。
開始3秒、猫の「ウインク」で世界が平和になる
この映画の評価軸は一つしかありません。 「猫が可愛いかどうか」。 その点において、本作はアカデミー賞最優秀猫賞を独占しています。 ヒロインの白猫・玉之丞(たまのじょう)。 彼女の愛くるしい瞳、ふてぶてしい態度、そして時折見せる無防備な姿。 画面に映るたびに、私の脳内で幸せホルモンがドバドバ分泌されました。
ストーリー? 剣術アクション? そんなものはオマケです。 強面の侍が、狭い長屋で猫にミルクをあげ、猫じゃらしで遊ぼうとして無視される。 その絵面のシュールさと平和さだけで、100分間持ちます。 疲れた現代人の脳みそを強制的にシャットダウンし、「猫…尊い…」という感情だけを残す、危険な映像ドラッグです。
北村一輝の「顔面力」と「心の声」のギャップ
主演の北村一輝さん。 彼の彫りの深い、人を3人くらい殺めていそうな強面(失礼)が、これほどコメディにハマるとは。 眉間に皺を寄せ、刀を構えているのに、心の中(ナレーション)では「うわ、可愛い」「抱っこさせてくれないかな」とか考えている。 このギャップ萌えが強烈です。
セリフが少なく、モノローグで進行するスタイルが、孤独な浪人の哀愁と、猫へのデレデレ具合を際立たせています。 「拙者は斬る!」みたいな顔をして、実際には猫のトイレの始末をしている。 その哀れで愛おしい姿に、ニヤニヤが止まりません。
時代劇の皮を被った「ニート更生記」
一応、時代劇としての設定はあります。 敵対する派閥の抗争とか、剣客としてのプライドとか。 でも、本質的には「人生に挫折したおじさんが、ペットを通じて生きる希望を取り戻す話」です。
| 評価項目 | 評価 |
|---|---|
| 猫の可愛さ | SSランク |
| 剣術アクション | 意外と本格的 |
| ゆるさ | 温泉級 |
【解説】 ストーリーの起伏は緩やかで、緊迫感とは無縁です。 しかし、それがいい。 深夜ドラマ発の映画化ということもあり、良い意味での「チープさ」と「ゆるさ」が全体を包んでいます。 肩肘張らず、スマホを片手に(できれば猫を膝に乗せて)ダラダラ見るのに最適です。 ただ、ラストの立ち回りだけは、北村一輝の本気のアクションが見られるので、そこだけは画面を注視してください。
動物映画特有の「あざとさ」がない
動物映画にありがちな「お涙頂戴」の展開。 「最後は猫が死んで泣かせに来るんでしょ?」と警戒しているあなた、安心してください。 この映画、驚くほど湿っぽさがありません。
猫はあくまで猫として、気まぐれに生きています。 人間が勝手に感動したり、振り回されたりしているだけ。 そのドライな距離感が、猫好きにとってはリアルで心地よいのです。 「猫は人間を救おうなんて思ってない。ただそこにいるだけ」 その真理を突いているからこそ、本作は多くの愛猫家から支持されているのでしょう。
結論:猫好きにとっては「経典」、それ以外には「?」
はっきり言います。 猫に興味がない人が見ても、面白さは半減どころか、3割くらいしか伝わらないかもしれません。 「なんでおっさんが猫に話しかけてるの?」で終わるでしょう。
しかし、猫の下僕たる私たちにとっては、これは必修科目です。 見終わった後、無性に自分の飼い猫(あるいは野良猫)を吸いたくなります。 日々のストレスで心が荒んでいる人へ。 難しい映画を見る元気がない人へ。 この映画は、あなたの心を優しく舐めてくれる、猫の舌のようなザラザラとした癒やしを与えてくれます。 即決で再生して、癒やされてください。
作品情報

小林 祐太
TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。
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