映画『帝一の國』ネタバレなし感想・評価|生徒会選挙に命を賭けるな!イケメンたちの「顔芸」と「野心」が衝突する、最高純度の学園政権闘争【レビュー】
「総理大臣になるために、まずは生徒会長になる!」菅田将暉、竹内涼真ら豪華若手俳優が集結。名門・海帝高校を舞台に、裏切り、謀略、土下座が飛び交う、仁義なき生徒会選挙バトル。
開始5分、菅田将暉の「靴舐め」にドン引く(褒め言葉)
主人公・赤場帝一(菅田将暉)の夢は「総理大臣になり、自分の国を作ること」。 その第一歩として、超名門高校の生徒会長の座を狙います。 そのためなら、彼は何でもします。 先輩の靴を舐めるなんて序の口。 媚び、へつらい、計算し尽くされたゴマすり。 その清々しいほどの「クズっぷり」と「野心」に、冒頭から圧倒されます。
普通、こういうキャラは嫌われるんですが、帝一はなぜか憎めない。 それは、彼があまりにも必死で、あまりにも真っ直ぐだからでしょう。 ピアノを弾きながら狂喜乱舞するシーンなんて、もはや狂気。 「この男、ヤバいけど面白い」と観客に思わせたら勝ちです。 菅田将暉という役者の底知れなさを、まざまざと見せつけられました。
キャラクターの大渋滞、全員主役級
この映画、画面の人口密度ならぬ「イケメン密度」と「キャラの濃さ」が異常です。
- 大鷹弾(竹内涼真): 爽やかすぎて逆に胡散臭いレベルの正義漢。
- 東郷菊馬(野村周平): 卑怯で小賢しいライバル。最高にウザい。
- 氷室ローランド(間宮祥太朗): 金髪長髪の支配者。王者の風格。
- 榊原光明(志尊淳): 帝一の右腕。あざと可愛い参謀。
- 森園億人(千葉雄大): 冷静沈着な策士。目が笑ってない。
これだけのメンツが、一画面で大声を出して喧嘩し、抱き合い、裏切り合う。 推しがいなくても、誰かしらに目が釘付けになります。 特に竹内涼真さんの「主人公補正」を具現化したような輝きと、それに対する帝一の嫉妬の眼差しが最高に笑えます。
政治ドラマとしての「完成度」が高い
ただのイケメンパラダイスだと思ったら大火傷します。 中身はガチガチの「ポリティカル・サスペンス」です。
| 評価項目 | 評価 |
|---|---|
| 脚本・テンポ | ジェットコースター |
| 顔芸の破壊力 | R-18級 |
| 男の友情 | 尊い |
【解説】 派閥争い、票読み、裏工作、ハニートラップ(?)。 現実の選挙戦で行われているようなドロドロした駆け引きが、高校生というフィルターを通すことで、シュールなエンタメに昇華されています。 「たかが生徒会選挙だろ?」というツッコミを、「いや、彼らにとっては命がけなんだ!」という熱量でねじ伏せてくる。 脚本の構成も見事で、二転三転する展開に最後まで飽きさせません。 ラストのどんでん返しまで、息つく暇もない攻防戦が続きます。
「フンドシ太鼓」という伝説の奇祭
予告編でも話題になった、フンドシ姿での和太鼓演奏シーン。 映画館のスクリーンで見た時の衝撃は忘れられません。 美しい肉体美を持つ男たちが、汗を飛び散らせながら太鼓を叩く。 その映像の圧力が凄すぎて、笑っていいのか感動していいのか脳がバグります。
永井聡監督(CMディレクター出身)ならではの、美しくもポップな映像センスが光ります。 音楽の使い方、カット割り、テロップの出し方。 すべてがスタイリッシュで、B級コメディの内容を、A級のエンタメ作品に引き上げています。
結論:エナジードリンクを飲むより効く一本
見終わった後の疲労感はすごいです。 でも、それは心地よい疲れ。 彼らの莫大なエネルギーを浴びて、逆にこっちも元気になってくるような感覚。 「明日からまた頑張ろう」ではなく、「明日から世界を征服してやるか!」という無駄な全能感が湧いてきます。
原作ファンも納得、映画ファンも満足。 邦画コメディの金字塔と言っても過言ではありません。 スカッとしたい時、頭を空っぽにして笑いたい時、そしてイケメンの顔芸を見たい時。 『帝一の國』は、常に最高の答えを出してくれます。 まだ見ていない人は、人生の楽しみを一つ残している幸運な人です。 今すぐAmazonプライムで再生ボタンを押してください。
作品情報

小林 祐太
TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。
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