映画『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』ネタバレなし感想・評価|全社畜が泣いて笑う、共感度100%のお仕事ムービー【レビュー】
「部長、同じ一週間を繰り返してます!」気づかない上司、終わらない仕事、迫る納期。絶望的な月曜日を繰り返す若手社員たちの奮闘を描く、極上のお仕事タイムループコメディ。
開始10分で「胃薬」が欲しくなった
画面に映るのは、徹夜明けのオフィス、鳴り止まない電話、理不尽なクライアントの修正指示。 そして、それを「わかりました」と虚ろな目で受け入れる社員たち。 あまりにもリアルすぎる「日本のブラック企業」の風景に、見ていて胃がキリキリしました。 「これ、コメディだよね? ドキュメンタリーじゃないよね?」と不安になるレベルです。
しかし、タイムループに気づいてからの展開は、まさにジェットコースター。 絶望的な状況が、「攻略すべきゲーム」に変わった瞬間のカタルシス。 「どうせ繰り返すなら、スキルアップしてやる」という社畜根性のたくましさに、思わず声を出して笑ってしまいました。 地獄のような月曜日が、次第に愛おしい日々に変わっていく魔法。 この監督、間違いなく「働いたことがある」人の視点を持っています。
ラスト20分、まさかの「号泣」案件
ただのドタバタコメディだと思って油断していました。 中盤から後半にかけての展開は、働く人なら誰もが抱える「葛藤」に深く切り込んできます。 「何のために働くのか」「誰のために頑張るのか」。 そんな青臭いテーマを、説教臭くなく、エンターテインメントとして昇華させている手腕が見事です。
特に、マキタスポーツ演じる「気づかない上司」の哀愁。 彼がなぜループに気づかないのか、その理由が明かされた時、笑いは感動へと変わります。 「ああ、俺もこうなるかもしれない」という恐怖と、「それでもいいか」という許し。 エンドロールを見つめながら、自分の仕事に対して少しだけ前向きになれる。 そんな不思議な力を持った映画です。
アイデアの勝利、脚本の妙技
タイムループものは数あれど、「上司に気づかせる」というミッションを課した点が秀逸です。 階級社会である日本の会社組織を逆手に取った設定が、これ以上ないほど機能しています。
| 評価項目 | 評価 |
|---|---|
| 脚本・構成 | 秀逸 |
| リアリティ | 胃が痛い |
| 読後感 | 爽快 |
【解説】 部下が一人ずつ事態に気づき、チームを結成していく過程は、まるで「オーシャンズ11」のようなワクワク感があります。 そして、最大の壁である「部長」を攻略するためのプレゼン。 パワポを使って「私たちがタイムループしている証拠」を説明するシーンは、映画史に残る名場面でしょう。 ビジネススキルを無駄遣いしてSF現象に立ち向かう姿は、滑稽でありながら、どこかカッコいい。 伏線の張り方と回収も丁寧で、パズルのピースがカチッとはまるような快感を味わえます。
キャスティングという「奇跡」
主演の円井わんさんの演技が素晴らしい。 意識高い系だけど空回りしている若手社員の、あの「イタさ」と「必死さ」のバランスが絶妙です。 彼女の表情が、ループを重ねるごとに変化していく様は必見。
そして、マキタスポーツさん。 彼以外にこの「憎めないダメ上司」を演じられる人はいないでしょう。 昭和の価値観を引きずりながらも、どこか部下への愛を持っている中間管理職。 彼の存在が、このファンタジー設定に強烈なリアリティを与えています。 派手なスター俳優がいなくても、キャラクターにハマった役者が揃えば、傑作は生まれるのです。
「繰り返し」の先にある「成長」
タイムループは、現状維持のメタファーでもあります。 毎日同じ時間に起き、同じ電車に乗り、同じような仕事をする。 私たちの日常もまた、ある種のタイムループと言えるかもしれません。
本作は、その「変わらない日常」を打破するのは、劇的な奇跡ではなく、ほんの少しの「気づき」と「勇気」だと教えてくれます。 昨日より少しだけ違うことをしてみる。 隣の席の人と話してみる。 そんな些細なアクションが、未来を変えるバタフライエフェクトになる。 SFの設定を借りていますが、描かれているのは極めて普遍的な人間讃歌です。
社会人3年目以降に刺さりすぎる
新入社員が見たら「社会怖い」と思うかもしれません。 しかし、ある程度揉まれてきた社会人にとっては、共感の嵐です。 「夢」と「現実」のバランスに悩み、「これでいいのか」と自問自答する日々。 そんなモヤモヤを抱えている人にこそ、この映画は深く刺さります。
「憧れの仕事じゃなくても、無駄なことなんてない」 そんなメッセージが、説得力を持って胸に迫ります。 見終わった後、月曜日の出社が少しだけ楽しみになる…とまでは言いませんが、「まあ、悪くないか」と思えるくらいの元気は確実にもらえます。
結論:明日から頑張るための「栄養ドリンク」ムービー
上映時間は82分と非常にコンパクト。 平日夜、仕事終わりに観るのに最適な一本です。 見終わった後の爽快感は、サウナで整った後のそれに匹敵します。
「仕事がつらい」「毎日がつまらない」と嘆いているあなた。 騙されたと思って観てください。 あなたの職場にも、まだ気づいていないだけで、素敵なドラマが隠れているかもしれません。 文句なしの傑作B級(褒め言葉)コメディです。
作品情報

小林 祐太
TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。
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