HOME/CINEMA/ 2026-01-15

映画『FALL/フォール』ネタバレなし感想・評価|手汗でスマホが水没する!地上600mの絶望ワンシチュエーション【レビュー】

映画『FALL/フォール』ネタバレなし感想・評価。地上600メートルの超高層鉄塔に取り残された二人の女性。降りるハシゴは崩落、電波は届かない。高所恐怖症には地獄、そうでない人でも手汗が止まらない、極限のサバイバル・スリラー。

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SCORE
RANKA

60秒で結論買うべき?観るべき?

GOOD

映像の高度感がリアルすぎて吐き気がする(褒め言葉)。伏線回収が秀逸。

BAD

主人公たちの行動が軽率すぎてイライラする場面も。

高所恐怖症の人は「視聴禁止」

冗談抜きで、高所恐怖症の人は見ない方がいいです。 あるいは、覚悟を決めて見てください。

地上600メートル。 東京スカイツリーのてっぺんとほぼ同じ高さにある、足場わずか数メートルの狭いスペース。 そこに女性二人が取り残される。

ただそれだけの話なのに、なぜこんなに怖いのか。 ドローンを駆使した撮影技術が、異常なほどの臨場感を生んでいます。 風の音、錆びたボルトがきしむ音、遥か下に見える豆粒のような車。 自宅のソファで見ているはずなのに、お尻がムズムズして落ち着かない。 VR体験に近い、身体感覚に訴えかけてくる映画です。

「自業自得」と言いたくなるが……

正直、主人公たちの行動は褒められたものではありません。 立ち入り禁止の老朽化した鉄塔に、無許可で登る。 しかも、SNS映えのために危険なポーズを取る。 夫を亡くした悲しみを乗り越えるため……という理由はありますが、あまりにも無謀です。

「バカじゃないの?」 「自業自得だろ」 最初はそう思います。イライラもします。

しかし、ハシゴが崩れ落ち、絶体絶命の状況に陥ってからの彼女たちの「足掻き」を見ていると、応援せざるを得なくなります。 スマホをどうやって充電するか? どうやって地上にメッセージを送るか? ドローンやスニーカーなど、限られたアイテムと知恵を絞って生き延びようとする姿は、まさにサバイバル。

BEYOND THE 60 SECONDSここから先は、深掘りレビュー。
Technical Review

ワンシチュエーション特有の「中だるみ」がない

場所が移動しない映画は、普通なら途中で飽きます。 しかし、本作は脚本が上手い。

評価項目評価
恐怖演出ジャンプスケアなしで怖い
トラブル次から次へと畳み掛ける
ハゲワシ許すまじ

【解説】 「ハシゴがなくなる」という絶望から始まり、水不足、怪我、ハゲワシの襲撃、夜の寒さ……。 次々と襲いかかるトラブルの波状攻撃。 「もうやめてくれ!」と言いたくなるほど、監督は彼女たちを追い詰めます。 特にハゲワシが傷口をつつくシーンは、痛々しくて直視できません。

そして、極限状態での幻覚や、明かされる二人の過去の確執。 106分間、観客を休ませる気がない脚本構成が見事です。 特に終盤の「ある決断」には、戦慄しました。 B級パニックだと思っていたら、人間の狂気を描いたサイコホラーだったのです。 あの展開には、背筋が凍りました。

観るだけで寿命が縮む映像体験

この映画のMVPは、間違いなくカメラマンとスタントマンです。 CGも使われていますが、実際に高所にセットを組んで撮影したという映像は、作り物では出せない「生の恐怖」があります。

手からスマホが滑り落ちるシーン。 片手でぶら下がるシーン。 足を滑らせるシーン。 それらを見るたびに、自分の心拍数が上がるのが分かります。

手汗でコントローラー(リモコン)が滑りそうになる映画なんて、そうそうありません。 視聴中は、無意識のうちに何かに掴まりたくなるはずです。 鑑賞後の疲労感は、実際に山登りをした後並みです。

結論:安全な場所で「死」を体感せよ

人間はなぜ、わざわざ怖い思いをしたがるのでしょうか。 それは、安全な場所で恐怖を体験することで、「生きている実感」を得たいからかもしれません。

『FALL/フォール』は、まさにそんな体験を提供してくれるアトラクション・ムービーです。 見終わった後、地面を歩けることのありがたさを痛感します。 そして、絶対に高いところには登らないぞ、と心に誓うことになるでしょう。

大画面推奨。部屋を暗くして、絶望の600メートルへダイブしてください。 もし途中で怖くなったら、一時停止して深呼吸することをお勧めします。 あなたの命綱は、停止ボタンだけですから。

作品情報

時間106分
視聴難易度
家族向け要確認
配信Amazon Prime
小林 祐太
WRITTEN BY

小林 祐太

TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。

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