HOME/CINEMA/ 2026-02-22

映画『ロボジー』ネタバレなし感想・評価|最新ロボットの中身は73歳のジジイ!?抱腹絶倒の隠蔽コメディ【レビュー】

映画『ロボジー』ネタバレなし感想・評価。『ウォーターボーイズ』の矢口史靖監督が放つ、奇想天外なロボット映画。開発に失敗したロボットの代役に選ばれたのは、頑固な偏屈ジジイだった。日本の技術力と企業体質を痛烈に笑い飛ばす傑作。

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SCORE
RANKA

60秒で結論買うべき?観るべき?

GOOD

ミッキー・カーチスの国宝級演技

BAD

吉高由里子のキャラがウザすぎる(褒め言葉)

日本の技術力(?)の結晶、それは「着ぐるみ」

「二足歩行ロボット」といえば、日本の技術力の象徴。 しかし、その中身が生身の人間だったら? しかも、腰痛持ちの偏屈なジジイだったら?

この映画は、家電メーカーの窓際社員3人組が、ロボット博覧会に出す予定のロボットを壊してしまい、その場しのぎで「中身に人間を入れる」という暴挙に出るところから始まります。 この設定だけで、もう勝ったも同然です。

ロボット「ニュー潮風」として喝采を浴びるジジイ(鈴木重光)。 しかし、彼は正義感から勝手な行動を取り始め、事態はコントロール不能に陥っていきます。

バレるかバレないかのサスペンスと、企業の隠蔽体質への皮肉。 そして何より、「老人の生きがい」という普遍的なテーマ。 これらを最高に軽いタッチでまとめ上げる矢口史靖監督の手腕は、まさに職人芸です。

ミッキー・カーチス、一世一代の「顔が見えない」名演

主演の五十嵐信次郎(ミッキー・カーチス)が、本当に素晴らしい。 劇中の大半はロボットスーツを着ていて顔が見えないのですが、その動き、そしてスーツを脱いだ時の枯れた哀愁と、ふてぶてしさ。

彼が演じる鈴木重光は、家族からも疎まれる嫌な老人です。 しかし、ロボットとして社会に必要とされる(と思い込む)ことで、次第に生気を取り戻していく。 その過程が、おかしくも少し切ない。

(正直、私も将来こうなるんじゃないかとヒヤヒヤしました。老後の趣味、探しておきます。)

BEYOND THE 60 SECONDSここから先は、深掘りレビュー。
Technical Review

役者の演技と演出について

ダメ社員3人組(濱田岳、川合正悟、川島潤哉)の「無能感」がリアルすぎて笑えます。 責任転嫁、事なかれ主義、そして追い詰められた時の変なテンション。 日本のサラリーマン社会の縮図です。

そして、ロボットオタクの女子学生を演じる吉高由里子。 彼女の「ウザ可愛い」演技が炸裂しています。 純粋すぎるがゆえに、隠蔽工作チームにとっては最大の脅威となる彼女の存在が、物語を予想外の方向へ牽引していきます。

評価項目評価
脚本コメディのお手本
映像美ロボットの質感が絶妙
テンポ完璧なリズム

【解説】 ロボット「ニュー潮風」のデザインが絶妙です。 「頑張れば作れそう」かつ「中に人が入っててもおかしくない」ラインを見事に突いています。 このデザインの勝利が、映画全体のリアリティを支えています。

視聴後の「後遺症」について

家電量販店のロボットコーナー(Pepperくんとか)を見たとき、つい「中に誰か入ってるんじゃないか?」と疑ってしまいます。 そして、無機質な機械の裏側に、汗だくで働く人間の姿を想像してしまい、少しだけ優しくなれる気がします。

音響効果や美術について:金属音と関節痛

ロボットが動くときの「ウィーン、ガシャン」という駆動音。 あれが実は……というネタバレは避けますが、音響効果が本作のコメディ要素の肝になっています。 そして、ジジイの関節が鳴る音との対比。 「老い」と「テクノロジー」を音で表現するセンスに脱帽です。

多角的な分析:高齢化社会へのアプローチ

本作は笑えるコメディですが、その根底には「高齢化社会における老人の孤独」という重いテーマが流れています。 社会からリタイヤし、居場所を失った老人。 彼が必要とされたのは「ロボットの部品」としてでした。

しかし、たとえ偽りであっても、誰かの役に立つ喜びを知った時、人間は輝きを取り戻す。 これは、ある種の「老人版シンデレラストーリー」なのかもしれません。 矢口監督は、社会問題を説教臭くなく、エンタメとして昇華させる天才です。

結論:全世代対応型の鉄板コメディ

家族で見ても、恋人と見ても、一人で見ても絶対に面白い。 気まずいシーンも一切なし(ジジイの生着替えくらい)。

特に、仕事で失敗して落ち込んでいるサラリーマンにおすすめします。 「まあ、こいつらよりはマシか」と、確実に元気がもらえます。 そして、おじいちゃんおばあちゃん孝行をしたくなる、そんな副作用も期待できます。

作品情報

時間111分
視聴難易度低い
家族向け推奨
配信Amazon Prime
小林 祐太
WRITTEN BY

小林 祐太

TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。

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