Netflix『ストレンジャー・シングス:シーズン5』
涙で画面が見えない。ホーキンスの最後は、残酷で美しい「卒業式」だった。
60秒で結論買うべき?観るべき?
GOOD
伏線回収の快感と、完璧なフィナーレ
BAD
翌日、目が腫れて会社に行けなくなる
涙腺のダムが決壊しました
もう、降参です。 完敗しました。 これまで数々のドラマを見てきましたが、ここまで「終わってほしくない」と願い、同時に「早く結末を知りたい」と焦がれた作品はありませんでした。
Vol.1で情緒を不安定にさせられ、Vol.2で完全にトドメを刺されました。 これは単なるSFホラーの完結編ではありません。 私たち視聴者自身の、長きにわたる青春の「卒業式」なのです。
画面の前で、声を上げて泣きました。 (隣人が心配して壁を叩くレベルで) ホーキンスの子供たちが、あんなに小さかった彼らが、傷つきながらも立ち向かう姿。 その成長と別れが、あまりにも残酷で、それでいて美しすぎるのです。
「恐怖」より「愛」が勝つ瞬間
正直、シーズン4までの「絶望感」は凄まじいものでした。 ヴェクナ強すぎ問題。 「これ、どうやって勝つの?」と本気で脚本家を恨みそうになりました。
しかし、シーズン5は違います。 恐怖はもちろん健在ですが、それを凌駕する「愛」と「友情」のパワーが炸裂しています。 ベタですか? ええ、ベタですとも。 でも、そのベタを極限まで研ぎ澄まし、最高純度のエンターテインメントに昇華させられるのが、ダファー兄弟の恐ろしいところです。
震える手で再生ボタンを押し、クレジットが流れる頃には、あなたは抜け殻になっているでしょう。 私はなりました。 今これを書いている瞬間も、思い出して少し泣きそうです。
脚本の密度が「異常事態」
さて、ここからは少し冷静になって(なれる自信はありませんが)、この歴史的傑作を解剖していきましょう。 まず特筆すべきは、その脚本の密度です。
シーズン1から散りばめられた無数の伏線。 「あれ、これ何だったっけ?」と忘れかけていたような些細な設定まで、すべてが怒涛の勢いで回収されていきます。 パズルのピースがパチパチと嵌っていく快感。 脳汁が出すぎて、頭がショートするかと思いました。
| 評価項目 | 評価 |
|---|---|
| 伏線回収 | 神の御業 |
| テンポ | 呼吸困難 |
| キャラクター | 全員主役 |
【解説】 特に「裏側の世界」の起源に迫る展開は圧巻です。 SFとしての整合性を保ちつつ、それをエモーショナルな人間ドラマに着地させる手腕。 ご都合主義に見えそうな展開も、これまでの積み重ねがあるからこそ「必然」として受け入れられます。 脚本家チームは、おそらく寝ずにこれを書いたのでしょう。 (全員に高級スパ券を贈りたい気分です)
キャラクターたちの「魂の叫び」
次に、役者たちの演技について触れざるを得ません。 子供だった彼らはもう立派な大人になり、その顔つきには歴戦の戦士のような風格すら漂っています。
特にウィル。 シーズン1からずっと過酷な運命を背負わされてきた彼ですが、今シーズンの彼の演技は、画面越しにこちらの魂を鷲掴みにしてきます。 言葉少なに語る視線、震える声。 彼の苦悩と決断が、物語の核として機能しています。
そしてイレブン。 超能力少女としての苦悩だけでなく、一人の人間としての「選択」をする姿。 ミリー・ボビー・ブラウンの演技力は、もはや怪物の域に達しています。 彼女が叫ぶたびに、こちらの心臓も共鳴して痛むのです。 (正直、彼女のギャラが制作費の半分でも文句は言いません)
80年代ポップカルチャーへの「究極のラブレター」
本作を語る上で欠かせないのが、80年代カルチャーへのオマージュです。 音楽、ファッション、映画の引用。 これまでは「懐かしさ」を楽しむ要素でしたが、シーズン5ではそれが物語のテーマと深くリンクしています。
ケイト・ブッシュが再ブレイクしたように、今回も劇中で使用される楽曲が、シーンの感情を数倍に増幅させます。 選曲のセンスが良すぎて、悔しいほどです。 「ここでその曲をかけるか!」というタイミングで流れる名曲たち。 音楽がただのBGMではなく、キャラクターの心情を代弁する「台詞」として機能しているのです。
また、映像のルックも秀逸です。 80年代の映画が持っていた独特の粒子感や色使いを再現しつつ、最新のVFXで描かれる裏側の世界のグロテスクな美しさ。 このコントラストが、現実と非日常の境界を曖昧にし、私たちを画面の中へと引きずり込みます。
「ロス」という名の深い傷跡
見終わった後、私を襲ったのは強烈な「喪失感」でした。 素晴らしい作品を見終えた後の、あの独特の空虚感です。 しかし、それは決して不快なものではありません。
まるで、長い長い旅を終えて家に帰ってきたような、あるいは親友と朝まで語り明かした後のような。 心地よい疲労感と、少しの寂しさ。 「終わってしまった」という事実を受け入れるのに、私は丸3日を要しました。 (その間、仕事が手につかなかったのは内緒です)
この作品は、単なるエンターテインメント消費ではありません。 人生の一部になるような体験です。 今後、数十年先まで「あのドラマの最後、凄かったよね」と語り継がれることになるでしょう。 その「語り部」の一人になれたことを、私は誇りに思います。
結論:観ないという選択肢は、ない
もしあなたがまだこのシリーズを見ていないなら、今すぐシーズン1から再生してください。 「長いから?」 そんな言い訳は通用しません。 この感動を知らずに死ぬのは、人生における重大な損失です。
そして、これまで追いかけてきた同志たちへ。 バスタオルと水分補給の準備はいいですか? 翌日の予定は空けましたか? それでは、ホーキンスでお会いしましょう。 私たちの、最後の冒険へ。
90点。 残りの10点は、もう二度と「続き」が見られないという絶望感です。
作品情報

小林 祐太
TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。
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