Netflix『イカゲーム:シーズン5』
吐き気がするほど面白い。人間の尊厳を弄ぶ、極上の地獄めぐり完結編。
60秒で結論買うべき?観るべき?
GOOD
予想を裏切り続ける展開と、圧倒的な美術センス
BAD
見終わった後、人間が信じられなくなる
胃薬を用意してください
まず警告します。 体調が悪い時や、食事中には絶対に見ないでください。 シーズン1、2とエスカレートしてきた残酷描写と精神的な追い詰められ方は、この完結編で頂点に達しています。
「うわ、最悪…」と口では言いながら、目は画面に釘付け。 指の隙間から見たくなる、あの感覚。 人間の悪趣味な好奇心を、これでもかと刺激してきます。 制作陣は間違いなくサディストですが、同時に天才的なエンターテイナーでもあります。 悔しいけれど、面白い。 吐きそうになりながら、次へ次へと再生してしまう自分が怖いです。
456億ウォンより重い「何か」
今回は「復讐」がテーマです。 しかし、単純な勧善懲悪で終わるはずがありません。 「正義とは何か?」「人間はどこまで醜くなれるのか?」 そんな問いを、ポップな色彩と子供の遊びというフィルターを通して突きつけてきます。
見終わった後、スカッとはしません。 むしろ、どす黒い澱(おり)のようなものが心に残ります。 でも、それがいい。 その不快感こそが、この作品がただのデスゲームではなく、鋭利な社会風刺である証拠なのです。 (正直、見終わってすぐに鏡を見るのが嫌になりました)
ポップで残酷な「現代アート」
さて、この地獄の遊園地を詳細にレビューしていきましょう。 まず圧倒されるのは、その美術セットの美しさです。 パステルカラーの階段、巨大な遊具、無機質なマスク。 まるでおとぎ話の世界のようなセットの中で、血飛沫が舞う。 このグロテスクなコントラストは、もはや現代アートの域に達しています。
| 評価項目 | 評価 |
|---|---|
| 視覚効果 | 悪夢的 |
| 心理描写 | えげつない |
| 中毒性 | 危険水域 |
【解説】 特に今回のゲームデザインは秀逸(かつ悪辣)です。 単なる身体能力や運だけでなく、参加者同士の心理戦、裏切りを誘発するルール設定が絶妙。 「自分ならどうする?」と考えさせられる時点で、私たちはすでにゲームの主催者の掌で踊らされているのです。 人の心を折る音まで聞こえてきそうな演出には、戦慄を覚えます。
ソン・ギフンの顔を見よ
主演のイ・ジョンジェ。 彼の顔芸…失礼、表情演技は国宝級です。 シーズン1のダメ親父から、復讐の鬼へ、そして…。 彼の顔に刻まれた皺の一つ一つが、絶望の深さを物語っています。
彼だけではありません。 新たに参加するプレイヤーたちのキャラクター造形も素晴らしい。 「こいつは絶対すぐ死ぬ」と思った奴がしぶとく生き残ったり、感情移入させた瞬間に退場させられたり。 脚本家の「視聴者の予想を裏切りたい」という執念を感じます。 (おかげで人間不信が加速しました)
社会の縮図としてのデスゲーム
『イカゲーム』が世界中でヒットした理由。 それは、これがファンタジーではなく、私たちが生きる競争社会のカリカチュアだからです。 勝者総取り、敗者復活なし。 足の引っ張り合い、媚びへつらい。 ゲームの中で起きていることは、形を変えて私たちの日常でも起きています。
完結編となるシーズン3では、その構造的な暴力に対してどう抗うか、という問いが投げかけられます。 システムを壊すのか、それとも新たな支配者になるのか。 ラストシーンの解釈は分かれるでしょうが、私はあの苦味の残る結末を支持します。 安易なハッピーエンドに逃げなかった制作陣の覚悟を感じました。
終わらない悪夢の余韻
完結編を見終えて、スッキリしたかと言われればNOです。 むしろ、喉に小骨が刺さったような違和感が残ります。 でも、それこそが狙いなのでしょう。 「楽しかったね、はい終わり」では済ませない。 現実に戻った時に、ふと世界の理不尽さを考えてしまう。 そんな「呪い」をかけられた気分です。
この作品は、エンターテインメントの皮を被った劇薬です。 服用すると、しばらく世界が少し違って見える副作用があります。 それでも飲み干したいという物好きな方は、どうぞ覚悟を決めてください。
結論:地獄を見たいなら、特等席で
デスゲームものの金字塔として、有終の美を飾ったと言えるでしょう。 ただし、メンタルが弱っている時の視聴は推奨しません。 人間の暗部を覗き込む覚悟がある人だけが、この狂宴に参加してください。
85点。 減点理由は、あまりに救いがなさすぎて、見終わった後の食事が美味しくなかったから。 それ以外は、文句なしのクオリティです。 さあ、ゲームオーバーまで、瞬き禁止ですよ。
作品情報

小林 祐太
TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。
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