映画『テルマエ・ロマエ』ネタバレなし感想・評価|阿部寛の顔が濃ければ、ローマ人も日本人も関係ない【レビュー】
映画『テルマエ・ロマエ』ネタバレなし感想・評価。古代ローマの浴場設計技師が、現代日本の銭湯にタイムスリップ!阿部寛をはじめとする「顔の濃い」日本人キャストがローマ人を演じる、お風呂コメディの金字塔。
日本の銭湯文化への最大級のリスペクト(ローマ経由)
「平たい顔族(日本人)」の皆様、こんにちは。 この映画は、古代ローマ帝国の浴場設計技師ルシウスが、アイデアに行き詰まるたびに現代日本のお風呂へタイムスリップし、日本の技術をローマに持ち帰る(パクる)という物語です。
設定の勝利。これに尽きます。 ウォシュレット、フルーツ牛乳、シャンプーハット。 私たちにとって当たり前のものが、古代ローマ人の目を通すと「未来のオーバーテクノロジー」に見える。 そのカルチャーギャップだけで、108分間持たせてしまいます。
そして、ルシウスが日本の技術に感動するたびに流れるオペラ。 阿部寛の深刻な顔。 「お風呂」という一点突破で、ここまで壮大な叙事詩を作り上げたことに、まずは拍手を送りたい。 (裸のおっさんばかり出てくる映画なのに、なぜか画面が華やかです。)
キャスティングの暴力的な正解
「日本人キャストで古代ローマ人を演じる」 普通に考えれば無理があります。コスプレ学芸会になりかねない。 しかし、制作陣が出した答えはシンプルかつ暴力的でした。
「顔の濃い役者を集めればいい」
阿部寛、北村一輝、市村正親、宍戸開。 この並びを見てください。画面の「圧」が凄まじい。 彼らがトーガを纏ってローマの街を歩いていても、違和感どころか「現地の人かな?」と思うレベルです。
逆に、現代日本人役の上戸彩や笹野高史が、本当に「平たい顔」に見えてくるから不思議です。 役者の顔面力だけでリアリティをねじ伏せる。 これぞパワープレイ。
役者の演技と演出について
阿部寛のコメディセンスは国宝級です。 ウォシュレットの水を顔に浴びた時の、あの驚愕と恍惚が入り混じった表情。 「未知との遭遇」を顔芸だけで表現する技術は、チャップリンに通じるものがあります。
対する上戸彩も、元気ハツラツなヒロインとして物語を明るく照らしています。 (ただ、おっさんたちの裸のインパクトが強すぎて、記憶がおっさん寄りになりがちですが。)
| 評価項目 | 評価 |
|---|---|
| 脚本 | 潔いワンパターン |
| 映像美 | ローマのセットが本気 |
| テンポ | 湯加減よし |
【解説】 イタリア最大の映画撮影所チネチッタでロケを敢行し、現地のエキストラを大量動員したローマパートの映像は圧巻。 邦画コメディとは思えないスケール感です。 その壮大な映像でやるのが「お風呂の話」というのが、またニクイ。
視聴後の「後遺症」について
まず間違いなく、お風呂に入りたくなります。 それも、家の狭い風呂ではなく、足が伸ばせる広い銭湯や温泉に。 そして、湯船に浸かりながら「あぁ〜」と声を出し、ルシウスのように天井を見上げたくなるでしょう。
また、銭湯で見かけるお年寄りたちが、古代ローマの元老院議員に見えてくる……ことはないかもしれませんが、彼らへの親近感は確実に増します。
音響効果や美術について:オペラと効果音
ルシウスが衝撃を受けるシーンで必ず流れるオペラ歌手の歌声。 あれが「天啓」のような演出になっていて、何度聞いても笑えます。 「偉大なるローマ」の荘厳さと、「日本の庶民的な風呂」のギャップを音で埋める、見事な演出です。
多角的な分析:異文化交流の理想形
本作はコメディですが、根底にあるのは「異文化への尊敬」です。 ルシウスは日本の技術をパクりますが、そこには常に「平たい顔族」への敬意があります。 「良いものは良い」と認め、自分の文化に取り入れる柔軟さ。
これこそが、文明を発展させる原動力なのかもしれません。 お風呂を通じて世界(と時空)が繋がる。 「裸の付き合い」は伊達じゃないですね。
結論:お風呂好きの全人類へ捧ぐ
難しいことは何も考えたくない時、ただ笑って癒やされたい時。 最適な一本です。
ただし、お風呂上がりにフルーツ牛乳を一気飲みしたくなるので、冷蔵庫に常備してから見始めることを強く推奨します。 さあ、ひとっ風呂浴びに行きましょう。
作品情報

小林 祐太
TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。
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