HOME/CINEMA/ 2026-02-18

映画『翔んで埼玉』ネタバレなし感想・評価|埼玉県民への愛ある迫害、ここに極まれり【レビュー】

映画『翔んで埼玉』ネタバレなし感想・評価。「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ!」衝撃的な台詞で話題をさらった魔夜峰央の漫画を実写化。GACKTが高校生役という狂気のキャスティングで贈る、壮大な茶番劇。

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SCORE
RANKA

60秒で結論買うべき?観るべき?

GOOD

GACKTの無駄遣い(最高)

BAD

関東圏以外の人には伝わりにくい?

壮大すぎる「内輪ネタ」が、世界を(一瞬だけ)変える

「埼玉なんて言っているだけで口が埼玉になるわ!」 冒頭からフルスロットルで繰り出される埼玉ディス。 これは、東京都民による埼玉県民への迫害と、それに立ち向かう埼玉解放戦線の戦いを描いた、愛と革命の物語です。

……何を言っているのか分からないと思いますが、映像で見ても分かりません。 とにかく、設定のスケールとやってることのレベルの差が激しすぎる。 関東地方のローカルな格差社会を、まるで『ベルサイユのばら』か『スター・ウォーズ』のようなテンションで描く。 そのギャップだけで、106分間笑いっぱなしです。

特に、通行手形がないと東京に入れないとか、サイタマラリアという謎の病気があるとか、偏見を通り越してファンタジーの領域に達しています。 ここまでコケにされると、逆に清々しい。 埼玉県民の寛大さに、ノーベル平和賞をあげるべきです。

GACKT(当時45歳)の高校生役という「奇跡」

本作最大のツッコミどころにして、最大の魅力。 それが、主人公の転校生・麻実麗を演じるGACKTです。 設定は高校生。どう見ても貴族。あるいは吸血鬼。

しかし、彼が真顔で「埼玉ポーズ」を決めた瞬間、全ての理屈はどうでもよくなります。 二階堂ふみ演じる生徒会長とのBL(ボーイズラブ)的な絡みも、耽美すぎて直視できません(褒めてます)。

このキャスティングを思いついた人、そしてOKを出したGACKT本人。 どちらも頭がおかしい(最上級の賛辞)。

BEYOND THE 60 SECONDSここから先は、深掘りレビュー。
Technical Review

役者の演技と演出について

千葉県出身の「千葉解放戦線」リーダーを演じる伊勢谷友介の怪演も見逃せません。 埼玉vs千葉のライバル関係が、異常な熱量で描かれます。 川を挟んで出身有名人の写真を掲げ合う「出身地対決」は、映画史に残る迷シーンです。

評価項目評価
脚本悪ふざけの極み
映像美無駄に豪華絢爛
テンポ埼玉に帰るより速い

【解説】 監督は『テルマエ・ロマエ』の武内英樹。 「真面目な顔してバカをやる」演出に関しては、日本一の職人です。 豪華なセットや衣装を使えば使うほど、中身のバカバカしさが際立つという方程式を完璧に理解しています。

視聴後の「後遺症」について

埼玉県民でなくとも、無意識に「埼玉ポーズ(両手をクロスさせる)」をとりたくなります。 そして、スーパーで「そこらへんの草(野菜)」を見るたびにニヤニヤしてしまうでしょう。

関東在住者は、自分の住んでいる街のランクが気になり始めます。 「うちは東京寄りだからセーフ」とか「あそこよりはマシ」とか、醜いマウント合戦に参加したくなる副作用があります。

音響効果や美術について:ベルバラへのオマージュ

劇中の音楽は、クラシックやオペラ調の荘厳な曲ばかり。 これが、埼玉の田園風景(実写)と合わさることで、強烈な違和感=笑いを生み出しています。 衣装デザインも秀逸で、宝塚歌劇団もびっくりのキラキラ具合。 美術スタッフの良い仕事ぶりが、茶番劇を芸術の域まで押し上げています。

多角的な分析:郷土愛の究極形

「ディスる」ということは、裏を返せば「関心がある」ということ。 本作は、徹底的に埼玉をバカにしているようで、実は深い「埼玉愛」に溢れています。 (実際、原作者も監督も埼玉にゆかりがあります)

「何もない」ことを武器にする。コンプレックスをエンタメに変える。 これは、地方創生の新しい教科書と言えるかもしれません。 現に、この映画のおかげで埼玉の知名度は爆上がりしました。 愛の形は一つではないのです。

結論:IQを2まで下げて楽しむ極上のドラッグ

関東在住の人は必修です。 地理ネタが分かると面白さが倍増します。 地方の人や海外の人には、日本の「カースト制度」の資料映像として楽しめます(嘘です)。

ただし、あまりにバカバカしいので、高尚な社会派ドラマを期待している人は回れ右。 これは、豪華なキャストとスタッフが全力で遊んでいるだけの映像です。 だからこそ、最高に贅沢なのです。

作品情報

時間106分
視聴難易度低い
家族向け推奨
配信Amazon Prime
小林 祐太
WRITTEN BY

小林 祐太

TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。

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