映画『アタック・オブ・ザ・キラートマト』ネタバレなし感想・評価|トマトが転がるだけで人は死ぬ。不条理ギャグの金字塔【レビュー】
映画『アタック・オブ・ザ・キラートマト』ネタバレなし感想・評価。巨大化したトマトが人類を襲う!1978年のカルト的駄作にして名作。軍隊の無能さ、意味不明なミュージカル、そしてトマト。
60秒で結論買うべき?観るべき?
GOOD
「トマトに襲われる」というバカバカしさを、真面目にやり切った歴史的価値
BAD
ギャグのセンスが古すぎて(または前衛的すぎて)、半分くらい理解不能
野菜嫌いが生んだ悪夢、あるいは奇跡
「トマトが襲ってくる」。 字面だけ見れば、幼児の寝言です。
しかし、1978年のアメリカで、この寝言を大人が本気で映像化しました。
赤い球体が、ゴロゴロと転がってくる。 ただそれだけなのに、人々は悲鳴を上げ、逃げ惑い、死んでいく。
トマトに牙があるわけでも、手足があるわけでもありません。 ただの巨大なトマトです。 どうやって人を殺しているのか? そんなことを考えてはいけません。 トマトが触れたら死ぬのです。 そういう物理法則の世界なのです。
特殊部隊のメンバーが全員「特殊」すぎる
トマトの脅威に対抗するため、政府は精鋭部隊を結成します。 しかし、その人選が終わっています。
- 常にパラシュートを背負っている男(屋内でも開く)
- スクーバダイビングの装備をした男(陸上でも外さない)
- 変装の名人(黒人なのに、なぜかヒトラーに変装する)
彼らが一堂に会した会議室のシーンは、 もはやコントというより、シュールレアリスムの絵画です。 「全員、話を聞いてないだろ」とツッコミたくなるほどの自由奔放さ。
当然、トマト退治には何の役にも立ちません。 ただ画面を賑やかし、混乱させるだけ。 公務員への風刺なのか、単なる思いつきなのか。 真相はトマトの中です。
突然始まるミュージカル、そして不条理なラスト
この映画、無駄に曲が良いことでも有名です。 冒頭のテーマ曲「Puberty Love(思春期の恋)」は、 一度聴いたら耳から離れない中毒性があります。
そして、この曲こそが、最強の兵器となるのです。
物語のクライマックス、 人類はどうやって殺人トマト軍団を撃退するのか? その解決方法は、あまりにもバカバカしく、 そしてある意味で「若者文化への皮肉」とも取れる方法でした。
数万個のトマトが、一斉に〇〇するシーン。 圧巻です。 トマトジュースの海で溺れたい人には、 たまらない映像美(?)と言えるでしょう。
| 項目 | トマト度 | 狂気度 |
|---|---|---|
| トマト | 100% | ★★★★★ |
| 人間 | 0% | ★★★★★ |
| ストーリー | ケチャップ | 測定不能 |
【解説】 続編では、ジョージ・クルーニーが出演していたりします。 あのジョージ・クルーニーが、トマトと戦っていた黒歴史。 それも含めて、このシリーズはハリウッドの「業」のようなものを背負っています。 ちなみに、本作のヘリコプター墜落シーンは、 撮影中の本物の事故映像をそのまま使っているという伝説があります。 (死者は出ていないそうですが、狂ってます)
会議室が狭すぎる問題
政府高官たちが対策会議を開くシーンがあるのですが、 なぜか会議室が極端に狭い。
おっさんたちがギュウギュウ詰めで座り、 机の上を這って移動したりする。
この「狭い会議室」というギャグだけで、数分間引っ張ります。 正直、トマトよりこのシーンの方が面白いかもしれません。 予算不足を逆手に取ったのか、閉塞した官僚組織を皮肉っているのか。 深読みしようと思えばいくらでもできますが、 多分、単に狭い部屋しか借りられなかっただけでしょう。
トマトの移動手段は「人力」です
CGのない時代、巨大なトマトをどう動かすか? スタッフたちの血と汗の結晶が見えます。
明らかに「誰かが転がしている」動き。 坂道を下るシーンでは、重力に任せて暴走するトマトたち。 そして、平地では台車に乗せられているのが見え隠れするトマトたち。
「特撮」という言葉を使うのもおこがましい、 この「図画工作」レベルのアナログ感。 今の映画が失ってしまった「温もり」が、そこにはあります。 (トマトは冷たいですが)
結論:B級映画の聖典として崇めるべし
『アタック・オブ・ザ・キラートマト』は、 「B級映画」というジャンルを定義づけた作品の一つです。
低予算、バカな設定、無意味なギャグ。 それらを愛せるかどうかが、映画ファンとしての度量を試されます。
現代の洗練されたコメディ映画に慣れた目には、 退屈に映るかもしれません。 しかし、ここには「映画作りの原初的な喜び(と狂気)」が詰まっています。
サラダバーでプチトマトを見かけた時、 ふと恐怖を感じるようになったら、 あなたも立派なトマト教の信者です。
作品情報

小林 祐太
TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。
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