映画『シックス・ヘッド・ジョーズ』ネタバレなし感想・評価|頭が6つあれば6倍強い。小1男子の発想で作られた奇跡【レビュー】
映画『シックス・ヘッド・ジョーズ』ネタバレなし感想・評価。サメ映画界のインフレの極み。頭が2つ、3つ…ついには6つに!陸を歩き、頭を投げつけ、物理法則を無視して暴れ回る。
キングギドラも裸足で逃げ出すデザインセンス
サメ映画界には、「頭を増やせば強くなる」という謎の信仰があります。 『ダブルヘッド・ジョーズ』から始まり、 『トリプルヘッド』、『ファイブヘッド』…… そしてついに到達したのが、この『シックスヘッド』です。
頭が6つ。 左右に2つずつ、そして背びれがあった場所にも2つ(?)。 もはや泳げる形状ではありません。 水の抵抗とか、重心とか、そういう物理的な制約はすべて無視されています。
移動する姿は、サメというより「海に浮かぶタコ足配線」のようです。 その異形っぷりを見るだけで、86分を費やす価値はあります(多分)。
陸上歩行は標準装備です
「サメ映画あるある」ですが、 最近のサメは当たり前のように陸を歩きます。
本作のシックスヘッドくんも、 4つの頭を足代わりにして、砂浜をカサカサと高速移動します。 もはや両生類ですらない。 節足動物のような動きです。
「陸に上がれば助かる」 そんな甘い考えを持った人間たちを、 砂浜まで追いかけてきて食い散らかす。 その勤勉さには頭が下がります(6つとも)。
頭を「切り離して」投げるという新技
この映画のハイライトは、 サメが自分の頭の一つを切り離して、人間に投げつけるシーンです。
えっ? トカゲの尻尾切り? いいえ、頭です。 しかも、切り離された頭も独自に動き回り、人を襲います。 そして本体の方には、また新しい頭が生えてくる。
プラナリアかお前は。
「頭が増える」という設定を、 「弾丸として使う」という発想に転換した脚本家は天才かバカのどちらかです。 ここまでくると、サメと戦っているのか、 増殖する細胞と戦っているのか分からなくなってきます。
| 頭の数 | 攻撃力 | 機動力 |
|---|---|---|
| 1つ(普通のサメ) | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ |
| 3つ(ケルベロス級) | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
| 6つ(本作) | ★★★★★ | ★☆☆☆☆(見た目上) |
【解説】 機動力の星が少ないのは、見た目が重そうだからです。 実際にはジェットスキー並みの速度で泳ぎ、チーター並みの速度で走ります。 納得はいきませんが、受け入れるしかありません。 ちなみに、このシリーズには『ファイブヘッド』もありますが、 なぜか「4」を飛ばして「5」になり、そして「6」になりました。 「4」は縁起が悪いからでしょうか。サメのくせに。
人間ドラマ? そんなもの餌の前菜です
この手の映画には、 「夫婦の危機」とか「トラウマの克服」といった人間ドラマが申し訳程度に入ります。 本作も例に漏れず、 「結婚カウンセリングのために孤島に来たカップルたち」 という設定があります。
夫婦喧嘩をしている最中にサメに食われる。 浮気相手といちゃついている最中にサメに食われる。
サメは平等です。 愛があろうがなかろうが、等しくタンパク質として処理します。 その潔さが、見ていて気持ちいい。 面倒くさい人間関係を、サメがすべて「清算」してくれるのです。
安すぎるCGが、逆に脳を活性化させる
本作のサメは、全編フルCGです。 それは良いのですが、クオリティが「プレステ2の初期ソフト」レベルです。
背景の海とサメの質感が全く馴染んでいません。 サメが浮いています。物理的にも、映像的にも。
しかし、不思議なことに、 見続けていると脳が補完を始めます。 「これはサメだ、サメなんだ」と自己暗示をかけることで、 前頭葉がフル回転し、ボケ防止になるかもしれません。
特に、サメが爆発四散するラストシーンのエフェクトは必見。 フリー素材のような爆炎が、 私たちの時間を無駄にしたことへの「詫び状」のように虚しく咲き誇ります。
結論:これ以上、頭を増やさないでください
『シックス・ヘッド・ジョーズ』は、 サメ映画の「行き着くところまで行ってしまった感」を味わえる作品です。
これ以上頭を増やしたら、ただの肉団子になってしまいます。 ギリギリ「サメ」としてのシルエットを保っている(保っていない気もしますが)限界点。
IQをゼロにして、 「あ、頭投げた! すげー!」 と手を叩いて喜べる人には最高のエンターテイメントです。
海洋生物学者の方が観たら卒倒すると思いますが、 私たち一般人は、この進化の奇跡をただ見守りましょう。
作品情報

小林 祐太
TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。
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