HOME/CINEMA/ 2025-12-20

映画『ボーダーランズ』

ケイト・ブランシェット、なぜ仕事を選ばなかった?オスカー女優の無駄遣いにも限度がある。

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SCORE
RANKD

60秒で結論買うべき?観るべき?

GOOD

ゲームのコスプレとしての再現度は高い

BAD

脚本、演出、ジョーク、全てが滑っている

豪華食材で作った「泥団子」

ケイト・ブランシェット。ジェイミー・リー・カーティス。ジャック・ブラック。 これだけのオスカー級キャストを集めて、どうやったらこんなにつまらない映画が撮れるのか。 ある意味、奇跡のような作品です。 映画館の席に座った瞬間は、ワクワクしていました。 あの大人気ゲームの実写化、しかもこのキャスト。 失敗するはずがない、と。

しかし、開始15分でその確信は崩れ去りました。 画面から漂ってくるのは、作り手たちの「とりあえず人気ゲームを映画化しときゃいいだろ」という、やる気のない空気感。 豪華な俳優たちが、似合わないコスプレをして、寒々しいジョークを飛ばし合う。 それはまるで、金のかかった質の悪いコントを見せられているようでした。

対象年齢は「3歳児」ですか?

原作の『ボーダーランズ』は、クレイジーで、汚くて、バイオレンス満載の「ヒャッハー!」な世界観が魅力でした。 血と肉片が飛び散り、不謹慎なジョークが飛び交う、大人のためのエンターテインメント。

しかし映画版は、なぜか全年齢対象(PG-13)に日和りました。 その結果、何が起きたか。 銃を撃っても血は出ない。 ジョークは毒気が抜かれてスカスカ。 ただ、お年寄りの俳優たちが無理をしてアクションをしている痛々しい映像が続くだけの「薄味のスープ」が出来上がりました。 原作の魂である「狂気」を去勢して、一体何がしたかったのでしょうか。

BEYOND THE 60 SECONDSここから先は、深掘りレビュー。
Technical Review

ゲームファンへの「裏切り行為」

原作へのリスペクトがあれば、まだ救いようがあったかもしれません。 しかし、本作はそれすらも放棄しています。 主要キャラクターの設定は勝手に改変され、ファンが愛したストーリーはズタズタに引き裂かれました。

特に、ゲームのマスコット的存在であるロボット「クラップトラップ」。 彼のウザくて憎めないキャラクター性が、映画ではただの「不快な騒音発生器」に成り下がっています。 ジャック・ブラックが声を当てているにも関わらず、彼が喋るたびに劇場内の空気が凍りつくのが分かりました。 「静かにしてくれ」と心の中で祈ったのは、私だけではないはずです。

評価項目評価
キャスト無駄に豪華
脚本ゴミ捨て場行き
原作愛皆無

【解説】 「『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』みたいなのが作りたい!」という安易な下心が見え隠れします。 しかし、ジェームズ・ガン監督のようなセンスも愛もありません。 ただ表層的な「はぐれ者チーム」の要素だけを真似て、魂を入れ忘れた結果、このフランケンシュタインのような映画が生まれました。

視覚効果と演出の「チープさ」

予算は潤沢にあったはずです。 しかし、出来上がった映像はなぜか安っぽい。 背景のCGは合成丸出しで、キャラクターが浮いて見えます。 アクションシーンのカット割りも雑で、何が起きているのか分かりづらい。

特に、カーチェイスや銃撃戦の迫力のなさは致命的です。 ゲームのプレイ動画を見ている方が、よっぽど臨場感があります。 監督のイーライ・ロスはホラー映画の手腕はあるはずですが、本作ではその才能が完全に迷子になっています。 再撮影や監督交代の噂もありましたが、完成品を見れば、現場がいかに混乱していたかが手に取るように分かります。

ゲーム原作映画の「悪い例」として

近年、『THE LAST OF US』や『Fallout』など、ゲーム原作の傑作ドラマが生まれています。 それらは、原作の世界観を深く理解し、実写ならではの解釈を加えることで成功しました。 本作は、その真逆を行っています。

「ゲーム映画は鬼門」と言われていた、2000年代の暗黒期にタイムスリップしたかのような錯覚に陥ります。 この映画の罪深さは、単につまらないだけでなく、今後作られるかもしれないゲーム原作映画のハードルを、不必要に下げてしまったことです。

結論:ケイト・ブランシェットの黒歴史

彼女のファンであればあるほど、観てはいけません。 あの大女優が、緑色の画面の前で虚無の表情で演技をしている姿を見るのは、精神衛生上よろしくない。 15点。 ゲームの実況動画を見ている方が、100倍有意義な時間を過ごせます。 この映画は、パンドラ(舞台の惑星)の地下深くへ封印すべきです。 「見なかったこと」にするのが、人類にとっての最適解でしょう。

作品情報

時間102分
視聴難易度低い
家族向け推奨
配信Theater
小林 祐太
WRITTEN BY

小林 祐太

TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。

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