ドラマ『リッチマン、プアウーマン』ネタバレなし感想・評価|小栗旬×石原さとみの最高傑作ラブストーリー【レビュー】
ドラマ『リッチマン、プアウーマン』のネタバレなし感想・評価。小栗旬演じる天才IT社長と石原さとみ演じる就活生の格差恋愛を描く。仕事への情熱と胸キュンが止まらない、現代版プリティ・ウーマンを徹底レビュー。
「ベタなシンデレラストーリー」だと侮っていた過去の自分を、全力で殴りたい
正直に言います。 タイトルを見た瞬間、「はいはい、また金持ち男と貧乏女のありがちな恋愛ドラマね」と鼻で笑いました。 (どうせ最後はくっついてハッピーエンドでしょ?)と、結末まで透けて見えるような気でいたのです。
ですが、数話を見終わった瞬間、私は土下座していました。 これは単なる恋愛ドラマではありません。 「ものづくり」に魂を捧げる男たちの、血湧き肉躍るビジネスバトルであり、 自分の存在意義に悩むすべての若者への、強烈なエールです。
小栗旬演じる日向徹の「俺の作ったもので、世界を変える」という純粋すぎる狂気。 それに触発されていく石原さとみ演じる夏井真琴の成長。 この二人の化学反応が、予定調和な展開をすべてねじ伏せ、見たことのない景色を見せてくれます。
恋愛ドラマの皮を被った、極上の「お仕事ドラマ」
もちろん、胸キュン要素は満載です。 日向徹のツンデレ具合は、国宝に指定すべきレベルです。 ですが、このドラマの真骨頂は「働くことの尊さ」を描いている点にあります。
ゼロからイチを生み出す苦しみ。 仲間割れ、裏切り、そして再起。 ITベンチャーという、一寸先は闇の世界で、それでも「面白いこと」を追求し続ける彼らの姿は、 日曜の夜に見ると「明日からまた頑張ろう」ではなく、「今すぐ何か作りたい!」という衝動を掻き立てられます。 (私は見終わった後、無意味にPCを開いてキーボードを叩きました。何も作れませんでしたが)
才能という名の暴力と、凡人の葛藤
この作品が素晴らしいのは、天才・日向徹だけでなく、 彼を支える(あるいは対立する)「凡人たち」の描写が秀逸だからです。
特に、井浦新演じる共同経営者・朝比奈の苦悩。 天才を一番近くで見ているがゆえの劣等感、嫉妬、そして愛憎。 彼の視点に立った時、この物語は一気に深みを増し、単なるサクセスストーリーから、 人間の業を肯定する重厚な人間ドラマへと変貌します。
| 評価項目 | 評価 |
|---|---|
| 脚本 | 神懸かっている |
| 演技 | 全員ハマり役 |
| テンポ | ジェットコースター |
| 音楽 | miwaが天才 |
【解説】 脚本の安達奈緒子さんは、キャラクターの「欠点」を愛らしく描く天才です。 日向徹の性格破綻っぷりも、真琴の要領の悪さも、すべてが彼らの魅力に繋がっています。 そしてmiwaが歌う主題歌『ヒカリヘ』。 この曲が流れるタイミングが毎回完璧すぎて、イントロが聴こえた瞬間に条件反射で涙が出るようになります。 もはやパブロフの犬状態です。
日向徹という男の「不完全さ」
小栗旬が演じた日向徹は、間違いなくドラマ史に残る名キャラクターです。 スティーブ・ジョブズを彷彿とさせるプレゼン能力とカリスマ性を持ちながら、 人の名前を覚えられないという致命的な欠陥を抱えている。
しかし、そんな彼が真琴と出会い、少しずつ「他者」を受け入れていく過程が、 セリフではなく、視線やふとした仕草で表現されています。 特に、彼が初めて自分の弱さをさらけ出すシーン。 あの瞬間の小栗旬の表情は、演技を超えていました。 (かっこよすぎて、同じ男として絶望感を覚えるレベルです)
UI/UXへのこだわりが変態的
IT企業が舞台なだけあって、劇中に登場するインターフェースやオフィスのデザインが、 放送から10年以上経った今見ても全く古臭くありません。 むしろ、今の時代がようやく追いついてきた感すらあります。
透明なディスプレイ、直感的な操作、洗練されたプレゼン資料。 細部に至るまで「未来」を感じさせる作り込みがなされており、 制作陣の「嘘をつかない」という執念を感じます。 これが、ドラマ全体に漂う「本物感」を底上げしているのです。
石原さとみの「垢抜け」グラデーション
第1話の就活スーツ姿の芋っぽい真琴から、 物語が進むにつれて洗練されたビジネスウーマンへと変貌していく石原さとみ。 このビジュアルの変化が、彼女の内面の成長と完全にリンクしています。
単に化粧が変わったとか、服がおしゃれになったということではありません。 顔つきが変わるのです。 自信をつけた女性がどれほど美しくなるかということを、彼女は体現しています。 (個人的には、最初の方のちょっとダサい感じも好きですが)
結論:全人類、今すぐ観るべき義務教育
もしあなたが今、仕事に行き詰まっていたり、 「自分のやりたいことって何だろう」と悩んでいるなら。 このドラマは、どんな自己啓発本よりも効く特効薬になります。
恋愛ドラマとして消費するにはあまりにも惜しい、人生のバイブル。 見終わった後、あなたはきっと、自分の名刺を見つめ直したくなるはずです。 そして、無性にパーソナルウォールに数式を書きたくなるでしょう。
作品情報

小林 祐太
TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。
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