映画『女子ーズ』ネタバレなし感想・評価|「仕事なんで帰ります」地球の平和より女子会を優先する、脱力系戦隊ヒーロー【レビュー】
「恋、仕事、美容。女子は忙しいんです!」桐谷美玲、有村架純ら豪華キャストが演じるのは、すぐ解散したがる戦隊ヒロイン。福田雄一監督が贈る、やる気ゼロの特撮コメディ。
開始5分、佐藤二朗の「説明」で腹筋崩壊
福田雄一監督(『勇者ヨシヒコ』『銀魂』)作品のお約束、佐藤二朗さん。 彼が演じる司令官・チャールズが、5人の女子をスカウトする冒頭シーンからエンジン全開です。 「名字に色が入ってるから」という適当すぎる理由で選ばれたヒロインたち。 佐藤二朗のアドリブなのか台本なのか分からない、あの独特の「ねっとりとした喋り」と、それに食い気味にツッコミを入れる桐谷美玲。 このやり取りだけで、「ああ、そういう映画ね」と理解できます。 このノリについていけない人は、ここでブラウザバック推奨です。
「豪華女優陣」の無駄遣いという贅沢
それにしても、キャスティングが異常です。 レッド:桐谷美玲、ブルー:藤井美菜、イエロー:高畑充希、グリーン:有村架純、ネイビー:山本美月。 今なら主演級の女優たちが、ダサいコスチュームを着て、怪人と戦わずにダベっている。 2014年だからこそ実現した奇跡の並びです。
特に、有村架純さんが「劇団員でお金がない」キャラを演じたり、高畑充希さんが「コテコテの関西弁」でまくし立てたり。 彼女たちのパブリックイメージを微妙にズラした役柄が面白い。 「あの女優さんにこんなこと言わせていいの?」というヒヤヒヤ感と、それを楽しんでいる彼女たちの演技合戦が見どころです。
敵より怖い「女子の人間関係」
怪人が現れても、「今ネイル中なんで」「バイト抜けられないんで」と集まらない。 戦隊モノの常識を根底から覆す設定ですが、その理由は妙にリアルです。
| 評価項目 | 評価 |
|---|---|
| 脚本のゆるさ | 限界突破 |
| キャストの豪華さ | 国宝級 |
| 特撮クオリティ | あえてのB級 |
【解説】 「必殺技は5人揃わないと出せない」という設定が効いています。 誰か一人が遅れると、敵の前でひたすら待つしかない。 その待ち時間の気まずい会話、遅れてきたメンバーへの無言の圧力、揃ったと思ったら「私、この後予定あるんで」という空気の読めなさ。 これは特撮映画ではありません。 「女子グループあるある」を特撮のフォーマットで描いた、社会派(?)ドキュメンタリーです。 協調性のなさ、マウンティング、陰口。 怪人よりも、彼女たちの人間関係の方がよっぽどスリリングです。
「意味」や「感動」を求めてはいけない
この映画に教訓はありません。 成長もしません。 ただただ、可愛い女の子たちが、愚痴を言いながらダラダラと戦う(戦わない)様を眺める映画です。
ラストシーンも、「え、これで終わり?」と呆気にとられるほど投げやりです。 でも、それがこの映画の正解なんです。 真面目に考察したり、伏線を深読みしたりするのは野暮というもの。 脳みそのシワを全部伸ばして、ポテチでも食べながら「くだらねー」と笑う。 それが、最も正しい『女子ーズ』の楽しみ方です。
結論:疲れた金曜日の夜に効く「劇薬」
仕事で理不尽な目に遭ったり、人間関係に疲れたりした時に観てください。 「世界を救うヒーローですら、こんなに適当なんだから、私もこれでいいか」 そんな謎の勇気が湧いてきます。
映画としての完成度は正直高くありませんが、エンターテインメントとしての破壊力は抜群。 97分間、何も考えずに現実逃避したい人へ。 豪華女優陣による、至高の「茶番」をお楽しみください。 見終わった後、何も残りませんが、それでいいのです。
作品情報

小林 祐太
TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。
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