映画『ウィジャ・シャーク / 霊界倶楽部』ネタバレなし感想・評価|幽霊サメ召喚!透過PNGが襲ってくる衝撃映像【レビュー】
映画『ウィジャ・シャーク / 霊界倶楽部』ネタバレなし感想・評価。ウィジャボードで呼び出された幽霊サメが人を襲う。チープすぎるCG、棒読みの演技、謎のオカルト対決。Z級サメ映画界に新たな伝説を刻んだ怪作。
現代アートか?手抜きか?
目の前で起きていることが信じられませんでした。 サメが、半透明なんです。 それも、幽霊だからという演出上の意図ではなく、単純に「合成が雑」だから透けているようにしか見えません。
ウィジャボード(こっくりさん)でサメを呼び出すという発想は、100歩譲って天才的だとしましょう。 しかし、その映像化のレベルがあまりにも低い。 「低予算」という言葉では片付けられない、何か別の次元に到達しています。
水たまりのような浅瀬で「深い!溺れる!」と騒ぐ役者たち。 明らかに市民プールで撮影された水中シーン。 これは映画なのか? それとも前衛的な現代アートなのか? 私の脳は処理落ち寸前でした。
70分という名の「拷問」
上映時間はたったの70分。 普通の映画なら「短い」と感じるはずです。 しかし本作において、体感時間は『タイタニック』を超えています。
とにかく、何も起きない時間が長い。 森を歩くシーン、意味のないガールズトーク、ただの移動……。 「尺稼ぎ」という言葉がこれほど似合う映画も珍しいでしょう。
「早くサメを出してくれ!」 そう願っても、出てくるのは半透明の画像データ(サメ)がふわふわ浮いているだけ。 恐怖なんてありません。あるのは「虚無」です。 スマホをいじりながら見ても、全くストーリーを見失わない親切設計(?)です。
伝説の「透過PNGサメ」
この映画を語る上で避けて通れないのが、サメの描写です。
| 評価項目 | 評価 |
|---|---|
| サメの質感 | フリー素材レベル |
| 動き | 上下左右にスライドするだけ |
| 透明度 | 背景が透けて見える |
【解説】 冗談ではなく、インターネットで拾ってきたサメの画像を、そのまま動画編集ソフトで貼り付けたようなクオリティです。 しかも、レイヤーの透明度設定を間違えたのか、常に半透明。 木々や建物がサメを通して丸見えです。
「霊界のサメだから透けているのだ」という言い訳を用意しているのが小賢しい。 これを劇場で公開しよう(あるいはDVDで売ろう)と思った監督の勇気に、乾杯したくなります。 サメが人を襲うシーンも、ただ画像が重なるだけ。 血糊すら出ないこともあり、もはやシュールレアリスム絵画のようです。
予想の斜め上を行くラストバトル
しかし、この映画の真骨頂はラストにあります。 ネタバレになるので詳細は伏せますが、ジャンルが急変します。
それまでの「サメパニック」から、唐突に「異能バトルもの」へ。 主人公の父親(霊媒師?)が登場し、サメと謎のエネルギー弾を撃ち合うのです。 ドラゴンボールか?
この展開には、さすがに呆気にとられました。 そして、少しだけ感動しました。 「ここまでやるなら、もう好きにしてくれ」と。 このラストシーンのためだけに、前の退屈な60分が存在したのだと思えば……いや、やっぱり許せません。 でも、爆笑したことだけは事実です。
音響効果という名の「騒音」
BGMの使い方も斬新です。 シーンの雰囲気と全く合っていないフリー音源が、大音量で流れます。 セリフが聞こえません。
そして、サメが現れる時の効果音。 「シャアアア!」という謎のノイズ。 これが不安を煽るというより、単純に耳障りです。
音響担当は、編集中に寝ていたのでしょうか? それとも、これも「霊界の不協和音」を表現した高度な演出なのでしょうか? ヘッドホンでの視聴は推奨しません。耳がおかしくなります。
『ジョーズ』への冒涜、あるいは愛?
スティーヴン・スピルバーグ監督が見たら、激怒するか、大爆笑するかのどちらかでしょう。 『ジョーズ』が築き上げたサメ映画の恐怖と文法を、全て無視し、破壊しています。
しかし、不思議なことに「サメ映画への愛」は感じるのです。 「俺もサメ映画が撮りたいんだ!」という初期衝動だけで突っ走ったような熱量。 技術も予算も才能もないけれど、情熱だけはある。 その歪な愛の結晶が、この『ウィジャ・シャーク』なのです。 「誰でも映画は撮れる」という希望を、私たちに与えてくれます。
結論:常人には理解不能な領域へ
はっきり言います。 普通の映画ファンは観てはいけません。 貴重な人生の70分をドブに捨てることになります。
ですが、「クソ映画」を愛するマニア、あるいは「世の中の底」を見てみたい好奇心旺盛なチャレンジャーには、必修科目です。 これを見れば、他のどんなB級映画も「傑作」に見えるようになるでしょう。 あなたの映画基準(リテラシー)を破壊し、再構築するための、荒療治のような作品。 覚悟があるなら、ウィジャボードに手を添えてみてください。 ただし、呼び出した後の責任は負いかねます。
作品情報

小林 祐太
TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。
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