映画『パンダザウルス』ネタバレなし感想・評価|ぬいぐるみ以下の衝撃!Z級映画の帝王が放つ、白黒の悪魔【レビュー】
映画『パンダザウルス』ネタバレなし感想・評価。パンダの愛らしさとT-レックスの凶暴さを混ぜたら、ただの「着ぐるみ」が生まれた。Z級映画界のレジェンド、マーク・ポロニアが放つ、全編ツッコミ待ちの珍作。
60秒で結論買うべき?観るべき?
GOOD
「映画とは何か」を哲学的に考えさせられる。90分で終わる(体感は3時間)。
BAD
CGがプレステ1以下。着ぐるみがドン・キホーテで買ってきたレベル。
開始5秒で「敗北」を悟る
再生ボタンを押した瞬間、あなたは後悔するでしょう。 画面に映し出されるのは、学芸会レベル……いや、ホームビデオ以下の映像。
「パンダ型の恐竜」という、人類の想像の斜め下を行くクリーチャー。 その造形は、恐怖よりも先に「哀れみ」を誘います。 毛並みはゴワゴワ、目はプラスチック、動きは中の人の苦労が透けて見える。
しかし、不思議なことに目が離せません。 「次はどんな手抜きを見せてくれるんだ?」 そんな歪んだ期待感が、あなたの理性を蝕んでいくのです。
恐怖演出のすべてが「雑」
通常、モンスターパニック映画といえば、緊迫感あふれるBGMや、巧みなカメラワークで恐怖を煽るものです。 しかし、本作にそんな高等技術はありません。
パンダザウルスが人を襲うシーン。 カメラが揺れ、悲鳴が上がり、次の瞬間には画面が切り替わって、服に赤いペンキがついた人が倒れている。 「過程」がないのです。
予算がないから見せないのではない。 「見せる技術がない」から見せない潔さ。 その開き直りっぷりに、ある種の清々しさすら感じてしまう自分がいて、怖くなりました。
Z級映画の帝王、マーク・ポロニアの仕事
本作の監督は、Z級映画界では知らぬ者のいない巨匠(あるいは戦犯)、マーク・ポロニア。 彼の作品を観ることは、映画鑑賞ではなく「修行」です。
| 評価項目 | 評価 |
|---|---|
| クリーチャー造形 | ドンキのパーティーグッズ |
| 演技力 | 棒読みを超えた「虚無」 |
| CG技術 | Windows 95のスクリーンセーバー |
【解説】 パンダザウルスの正体は、明らかに市販のパンダの着ぐるみに、適当な尻尾をつけただけ。 しかも、シーンによっては「合成された2Dの静止画」が画面を横切ります。 遠近法も無視。光の当たり方も無視。 「そこにいない」ことがあまりにも明白すぎて、脳がバグを起こします。
役者たちも凄い。 目の前に(合成の)怪物がいるはずなのに、視線が合っていない。 恐怖に戦く表情が、どこか「早く帰ってビール飲みたい」という顔に見える。 この「やる気のなさ」が画面全体に充満しており、観客の精神力を削り取っていきます。
ストーリー? そんなものは飾りです
あらすじを一応説明すると、「中国の奥地で見つかった伝説の生物が、研究所から脱走して暴れる」という、300回くらい擦られたプロットです。
しかし、本作においてストーリーは重要ではありません。 重要なのは「いかに尺を稼ぐか」です。
無意味な会話シーン。 延々と続く移動シーン。 脈絡のない回想シーン。 これらが巧みに(いや、無造作に)配置され、薄いカルピスをさらに水で薄めたような物語が展開されます。
特に、研究所の職員たちが「これは人類の危機だ」と真顔で議論するシーン。 後ろのホワイトボードに書かれた数式らしき落書きが気になって、話が全く頭に入ってきません。
視聴後の「虚無感」と向き合う
エンドロールが流れた時、あなたは思うでしょう。 「俺の75分を返せ」と。 しかし、同時にこうも思うはずです。 「俺はやり遂げたんだ」と。
この映画を完走したという事実は、あなたに奇妙な自信を与えます。 「これより酷い映画はそうそうない」という安心感。 世の中の大抵の失敗が許せるようになる寛容さ。
そう、パンダザウルスは、私たちに「許し」を教えてくれる映画なのです(嘘です)。 ただただ時間を無駄にする贅沢。 現代社会で失われつつある「無駄」の極致がここにあります。
なぜか憎めない「愛され要素」
ここまで酷評しましたが、不思議と憎めないのがポロニア作品の魔力。 手作り感満載のパンダザウルスが、よちよちと歩く姿には、どこか哀愁があります。
「予算はないけど、映画が撮りたいんだ!」 そんな監督の(歪んだ)情熱だけは、画面の端々から伝わってくる……ような気がします。
CGを使えばもっと楽に作れるはずなのに、あえて着ぐるみで挑むアナログ精神。 (単にCGスキルがないだけかもしれませんが) その不器用さが、一周回って「愛おしい」と感じてしまったら、あなたはもう立派なZ級映画ハンターです。
結論:常人には劇薬、マニアにはご褒美
普通の映画ファンが観たら、怒りでリモコンを投げるレベルです。 絶対にオススメしません。 時間の無駄です。人生は短いのです。
しかし、「クソ映画」というジャンルを愛する変態紳士淑女の皆様。 そして、完璧すぎる現代のエンタメに疲れたあなた。 この「手抜きの美学」を体験してみてください。 見終わった後、きっと世界が少しだけ平和に見えるはずです(IQが下がるので)。
作品情報

小林 祐太
TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。
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