映画『片腕マシンガール』ネタバレなし感想・評価|セーラー服と機関銃(物理)!日本が世界に誇る血肉の祭典【レビュー】
映画『片腕マシンガール』ネタバレなし感想・評価。弟を殺された女子高生が、左腕にマシンガンを装着して復讐へ。海外でもカルト的人気を誇る、井口昇監督のジャパニーズ・スプラッター・アクションの金字塔。
60秒で結論買うべき?観るべき?
GOOD
理屈抜きの爽快感。天ぷら屋でのバトルなど、独創的すぎるアクション。
BAD
血の量が多すぎて画面が赤い。ストーリーはあってないようなもの。
復讐は「量」で果たせ
「目には目を」? いいえ、この映画では「目にはガトリングガンを」です。
最愛の弟を不良グループに殺された女子高生・アミ。 彼女が選んだ復讐方法は、法的手段でも話し合いでもありません。 切り落とされた左腕に、多銃身マシンガンを装着し、物理的に全員消し去ること。
ストーリーはこれだけです。 これ以上でもこれ以下でもない。 この清々しいまでのシンプルさが、本作を傑作たらしめています。
悩みも葛藤も、圧倒的な火力の前では無意味。 トリガーを引けば、悩みごと敵が木っ端微塵になる。 現代社会のストレスに効く、最強の処方箋ムービーです。
「人体破壊」のアート
本作の見どころは、なんといっても西村喜廣氏による特殊造型と、井口昇監督の演出が生み出す「スプラッター描写」です。 ただし、リアルで陰惨なグロさではありません。 蛇口をひねったように噴き出す血。 空を舞う手足。 もはや「お祭り」のような明るさがあります。
人体がまるで風船のように破裂し、血しぶきが虹のようにアーチを描く。 不謹慎を通り越して、ある種の美しさすら感じてしまう。 「ここまでやればコメディになる」という境界線を、猛スピードで突破していく快感に酔いしれてください。
伝説の「天ぷら・オブ・ザ・デッド」
本作を語る上で絶対に外せないのが、中盤の「天ぷら屋」でのシーンです。
| 評価項目 | 評価 |
|---|---|
| 天ぷら | 凶器として使用 |
| 調理シーン | 戦いながら揚げる職人芸 |
| インパクト | 映画史に残る珍場面 |
【解説】 敵のアジトに乗り込むアミと、相棒のミキ。 そこで繰り広げられるのは、なんと「天ぷらを揚げながらの殺し合い」。 熱した油を敵にぶっかけ、食材ではなく「人の手」を衣につけて揚げてしまう。
「なぜ?」と考えてはいけません。 井口監督が「やりたかったから」です。 この狂気とユーモアの融合こそが、海外のファンを熱狂させた理由でしょう。 「SUSHI」「GEISHA」に続く日本の新しいアイコン、「TEMPURA」がここに誕生しました(最悪の形で)。
ヒロインたちの壮絶な輝き
主演の八代みなせさんの身体能力と、眼力も見逃せません。 セーラー服にマシンガンという、オタクの妄想を具現化したようなビジュアルですが、彼女が演じると凛とした強さが宿ります。 血まみれになりながら叫ぶ姿は、ジャンヌ・ダルクのよう(言い過ぎでしょうか)。
そして、もう一人のヒロイン、亜紗美さん。 彼女の演じるミキの「姉御肌」なキャラクターと、容赦ないバイオレンスアクションが、物語を牽引します。 彼女たちの友情(共闘関係)が熱い。 「復讐」という暗い動機で結ばれているはずなのに、二人の背中には青春映画のような爽やかさが漂っています。
ドリルブラジャーという発明
マシンガンだけではありません。 敵役の装備もぶっ飛んでいます。 特に印象的なのが「ドリルブラジャー」。
文字通り、ブラジャーからドリルが出てきます。 何を言っているか分からないと思いますが、私も分かりません。 しかし、画面には確かに、胸からドリルを回転させて突っ込んでくる女殺し屋が映っています。
この「小学生がノートの端に描いた落書き」のようなアイデアを、大人が本気で映像化する。 その熱量に、ただただ圧倒されます。 呆れる前に、笑ってしまう。笑っているうちに、なんだか凄くかっこよく見えてくる。 これが「井口マジック」です。
世界が認めた「J-SPLATTER」
本作は、日本国内よりも海外で高い評価を受けました。 タランティーノ監督の『キル・ビル』などが切り開いた「日本刀×女子高生×バイオレンス」の文脈を、さらに過激に、さらに安っぽく(良い意味で)進化させた作品として。
「クールジャパン」の本当の姿は、アニメやゲームだけではありません。 ここにあるような、血と汗と情熱(と低予算)で練り上げられた、狂気のB級映画群もまた、世界に誇るべき日本の文化なのです。
結論:B級映画の教科書にして頂点
もしあなたが「日本のB級アクション映画を観てみたい」と思ったら、迷わずこれを選んでください。 入門編にして、最高の到達点です。
グロ耐性がない人は絶対にNGですが、そうでなければ、96分間のジェットコースターを楽しめるはずです。 見終わった後、日頃の鬱憤がすべて血しぶきと共に洗い流されていることに気づくでしょう。 スッキリしたい夜に、ぜひ。 ただし、天ぷらを食べる前後は避けたほうが賢明です。
作品情報

小林 祐太
TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。
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