映画『ロボゲイシャ』ネタバレなし感想・評価|尻から手裏剣、口からドリル。海外が誤解した日本がここにある【レビュー】
映画『ロボゲイシャ』ネタバレなし感想・評価。井口昇監督が放つ、血しぶきとトンデモ兵器の祭典。芸者が戦車になり、城がロボットになる。日本文化を全力で誤解させた、愛すべきB級アクション。
60秒で結論買うべき?観るべき?
GOOD
「テンプラ・マシンガン」など、ネーミングセンスが天才的
BAD
食事中に観ると、確実に食欲を失うレベルの流血量
日本の恥か、それとも誇りか
開始早々、脳の処理速度が追いつかなくなります。 芸者が口からドリルを出し、お尻から手裏剣を飛ばす。 「え、これ怒られないの?」と心配になるほど、日本文化がフリー素材のように改造されています。 しかし、その映像から漂うのは、悪意ではなく純粋な「遊び心」です。
海外の人が考える「間違った日本」を、日本人が本気で再現したらどうなるか。 その実験を、大の大人が血糊まみれになりながらやっている。 その姿は、ある意味で感動的ですらあります。 「恥」と「誇り」は紙一重。 この映画は、その境界線をチェーンソーで切り刻んで、ミキサーにかけて飲み干すような作品です。 観ている間、常識というブレーキは完全に破壊されます。
血しぶきの向こうに見える「姉妹愛」
驚くべきことに、この映画にはストーリーがあります。 しかも、意外としっかりとした「姉妹の確執と和解」の物語です。 優秀な姉に対する妹の劣等感、そして互いに改造人間となって殺し合う悲劇。 血しぶきが舞う中で繰り広げられるドラマは、シェイクスピアも裸足で逃げ出すレベル……ではありませんが、予想外に胸を打ちます。
特に、主演の木口亜矢さんの体当たり演技が素晴らしい。 顔面を血で染めながら、泣き叫び、戦う姿。 そこには、B級映画のヒロインだけが持つ、独特の「強さ」と「美しさ」があります。 どんなにふざけた設定でも、役者が本気ならドラマは成立する。 その事実を、大量の血糊とともに突きつけられます。
井口昇監督の「変態的」な兵器デザイン
本作の最大の魅力は、次々と登場するトンデモ兵器の数々です。
| 評価項目 | 評価 |
|---|---|
| 兵器のバリエーション | 小学生男子の妄想 |
| 流血量 | 致死量超え |
| 日本文化へのリスペクト | 屈折しすぎ |
【解説】 「テンプラ・マシンガン」や「カツラ・チェーンソー」。 名前を聞いただけでワクワクしませんか? これらの兵器が、CGとアナログな特殊造形を組み合わせて映像化されています。 特に、芸者の身体が変形して戦車になるシーンは、もはや芸術の域。 「なんでそうなるんだよ!」というツッコミ待ちの隙をあえて作りつつ、 「でもカッコいいだろ?」という監督のドヤ顔が見え隠れします。 これらのギミックは、子供の頃にノートの端に描いた落書きそのもの。 それをプロの技術で映像化するという、贅沢極まりない遊び心に満ちています。
視聴後の「日本の城」への視点変更
クライマックスに登場する「ロボット化した日本の城」。 これを見てしまった後では、修学旅行や観光で城を見る目が変わってしまいます。 「あの天守閣も、いざとなったら変形してビームを撃つんじゃないか?」 そんな妄想が止まらなくなります。
歴史的な建造物をここまで冒涜できるのは、 この映画がフィクションとしての強度を持っているからです。 リアリティラインを極限まで下げることで、逆に何でもありの世界観を構築することに成功しています。 見終わった後、あなたは日本の風景が少しだけエキサイティングに見えるようになるでしょう。 (ただし、歴史好きな友人と一緒に観るのは避けた方が無難です)
斎藤工の「黒歴史」になりきらない存在感
今や国民的俳優となった斎藤工さんが、悪役として出演しているのも見逃せません。 しかも、短パン姿で変なポーズを取るという、今の彼からは想像もできない役柄です。 しかし、彼は手を抜いていません。 むしろ、誰よりも楽しそうに演じています。
この「全力でバカをやる」姿勢こそが、彼が後にブレイクした理由なのかもしれません。 過去の出演作を黒歴史として隠すのではなく、 キャリアの一部として堂々と存在させている(と信じたい)彼のプロ意識に、勝手に敬意を表したくなります。 イケメンが変なことをする面白さ。 その原点がここにあります。
結論:エビフライを食べる前に観るな
「日本文化を学びたい」という外国人には、絶対に見せてはいけません。 国際問題になります。 しかし、「頭のネジを外してストレス発散したい」という人には、これ以上の劇薬はありません。
60点。 映画としての品格はゼロですが、エンタメとしての爆発力は100点です。 ただし、食事中、特に揚げ物を食べている時の視聴は厳禁です。 テンプラを見る目が変わってしまい、二度と美味しく食べられなくなる可能性があります。 自己責任で、この狂宴に参加してください。
作品情報

小林 祐太
TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。
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