映画『シャークトパス』ネタバレなし感想・評価|サメ×タコ=最強!B級モンスターパニックの金字塔【レビュー】
映画『シャークトパス』ネタバレなし感想・評価。サメの頭とタコの下半身を持つ軍事兵器が暴走する。B級映画の巨匠ロジャー・コーマン製作。チープなCGと王道の展開が織りなす、実家のような安心感のある一作。
60秒で結論買うべき?観るべき?
GOOD
「サメとタコを合わせる」という発想の勝利。エリック・ロバーツの顔芸。
BAD
CGが粗い。展開がお約束すぎる。登場人物に感情移入できない。
キメラ系サメ映画の「原点」にして「頂点」
今でこそ「頭が2つあるサメ」や「砂浜を泳ぐサメ」は当たり前になりましたが、その潮流を作ったのは間違いなく本作でしょう。 サメ映画の歴史における、産業革命的瞬間です。
「サメの獰猛さと、タコの柔軟性を合わせれば最強じゃね?」 米軍のそんな安直な発想から生まれた生体兵器、S-11(通称:シャークトパス)。
当然のように制御不能になり、当然のようにリゾート地を襲います。 この「様式美」こそ、我々が求めているものです。 水中で泳ぎ、触手で陸に上がり、人間を捕食する。 その万能ぶりを見ていると、なぜか応援したくなってくるから不思議です。 「頑張れシャークトパス! 人類なんて滅ぼしちまえ!」と。
エリック・ロバーツの「仕事を選ばない」プロ根性
主演は、あの大スター、ジュリア・ロバーツの実兄であるエリック・ロバーツ。 かつてはアカデミー賞にノミネートされたこともある名優が、なぜこんな(失礼)映画に?
しかし、彼の演技は手抜きなしです。 マッドサイエンティストとしての狂気と、兵器開発者としての苦悩を、渋い顔で演じきっています。 娘役の女優に対して見せる、歪んだ愛情表現も見どころ。
彼が真剣であればあるほど、画面のシュールさが増していく。 「これがプロの仕事か」と、変な感動を覚えました。 彼のキャリアにおける黒歴史なのか、それとも勲章なのか。答えは観客の中にあります。
意外と理にかなった(?)モンスターデザイン
シャークトパスの造形について、真面目に語ってみましょう。
| 評価項目 | 評価 |
|---|---|
| デザイン | キモ可愛いの絶妙なライン |
| 陸上活動 | 触手歩行が意外とスムーズ |
| 捕食方法 | 触手で絡め取るのが新鮮 |
【解説】 サメ映画の弱点は「陸に逃げられたら終わり」という点ですが、タコの足を付けることでそれを克服しました。 触手を使って建物の壁を登ったり、ビーチパラソルの下でくつろぐ人を襲ったり。 「どこにいても逃げられない」という絶望感(と面白さ)を生み出しています。
CGのクオリティは推して知るべしですが、触手の動きだけは妙にヌルヌルしていてこだわりを感じます。 触手で人間を突き刺したり、絡め取って口に運んだり、食事のマナー(?)もバリエーション豊か。 クリーチャーデザイナーの「ぼくのかんがえたさいきょうのサメ」感が溢れていて微笑ましいです。
ロジャー・コーマン印の「安心感」
本作の製作は、B級映画の帝王ロジャー・コーマン。 彼の作品には、独特の「軽さ」があります。
重厚なテーマとか、社会風刺とか、そんなものはありません。 「モンスターが出た! 人が死んだ! ビキニのお姉ちゃんが逃げた! ドカーン!」 これだけです。 この潔さが、疲れた脳みそには心地いい。 水戸黄門を見るような安心感で、人が食われるシーンを眺めることができます。
特に、美女が無防備に海に入るシーンのお約束感。 「来るぞ、来るぞ……ほら来た!」という伝統芸能のような流れに、実家のような安心感を覚えるでしょう。
シリーズ化された人気者
このシャークトパス、よほど人気が出たのか、後にシリーズ化されています。 『シャークトパス VS プテラクーダ』(プテラノドン×バラクーダ) 『シャークトパス VS 狼鯨』(狼×鯨)
ライバルたちも大概ですが、それらを迎え撃つシャークトパスの貫禄。 もはやゴジラのような「怪獣王」の風格さえ漂っています。 本作はその記念すべき第一作目。 伝説の始まりを目撃するという意味で、資料的価値も高い(かもしれません)。 進化し続けるシャークトパスの勇姿を追いかけるのも、また一興です。
結論:B級映画の「教科書」として
『シャークトパス』は、決して「良い映画」ではありません。 でも、「正しいB級映画」です。
低予算、トンデモ設定、落ち目のスター、水着美女。 全ての要素が黄金比で配合されています。 B級映画初心者への入門編として、これほど適した作品はないでしょう。
「最近、映画を観るのがしんどいな」 そう感じているあなた。 シャークトパスの触手に身を委ねてみませんか? きっと、映画ってこんなに自由でいいんだ、と勇気をもらえるはずです。 週末の夜、ピザとコーラをお供に、頭のネジを外して楽しんでください。
作品情報

小林 祐太
TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。
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