映画『キラーカブトガニ』ネタバレなし感想・評価|サメの時代は終わった。これからはカブトガニだ【レビュー】
映画『キラーカブトガニ』ネタバレなし感想・評価。放射能で巨大化したカブトガニが人間を襲う!B級パニック映画の王道を行くかと思いきや、後半の展開が斜め上すぎて脳がバグる怪作。
期待値を底まで下げてから観てください。それでも裏切られます
「放射能で巨大化したカブトガニが人を襲う」 このあらすじを聞いた時点で、B級映画ファンなら涎が出るでしょう。
「どうせチープなCGだろう」 「どうせおっぱい要員が出てくるんだろう」 はい、その通りです。 あなたの予想はすべて当たっています。
しかし、この映画はそれだけでは終わりません。 後半、物語はあなたの予想を光速で置き去りにし、 「えっ、そっちに行くの!?」という次元へ突入します。 この「脱線事故」こそが、本作の最大の魅力です。
カブトガニの造形への妙なこだわり
まず評価したいのは、カブトガニたちの造形です。 CGも使われていますが、基本は実物大のパペットや着ぐるみ。 その裏返った時の「脚のワサワサ感」が、妙にリアルで気持ち悪い。 (私は海鮮料理が好きですが、しばらく甲殻類を控えたくなりました)
彼らは集団で襲いかかり、人間の顔に張り付き、血を吸います。 古典的なモンスターパニックの恐怖演出を、 真面目に(低予算なりに)やろうとしている姿勢には好感が持てます。
ただ、カブトガニの鳴き声が「キーキー」とうるさいのが難点。 もう少し静かに襲ってきてほしかった。
登場人物たちのIQが著しく低い問題
B級映画のお約束ですが、登場人物たちの知能指数は測定不能レベルです。
「なぜそこに逃げる?」 「なぜ今キスをする?」 「なぜ武器を捨てる?」 ツッコミが追いつきません。
特に、カブトガニの研究をしているはずの学者が、 一番役に立たないという展開には乾いた笑いが出ました。
車椅子の少年が天才的な発明で対抗しようとする設定も、 『グーニーズ』あたりのオマージュを感じさせますが、 発明品のクオリティが段ボール工作レベルで脱力します。
| キャラクター | 生存能力 | 役に立つ度 |
|---|---|---|
| 主人公 | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ |
| ヒロイン | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
| カブトガニ | ★★★★★ | 食欲旺盛 |
【解説】 人間側の戦力が貧弱すぎます。 しかし、それが逆に「どうやって勝つんだこれ?」というサスペンス(?)を生んでいます。 ちなみに、カブトガニには「光に弱い」などの弱点設定が一応ありますが、 映画の勢いがすごすぎて、設定が機能しているのかどうかよく分かりません。
後半の展開について(ネタバレなしで表現する限界)
さて、問題の後半です。 詳しくは書けませんが、これだけは言わせてください。
「日本の特撮番組を見て育った監督が、予算と理性が尽きた時に見る夢」
そんな映像が流れます。
カブトガニが……立ちます。 そして……戦います。 巨大な……ロボット的な……何かと。
この展開になった瞬間、 それまでの「モンスターパニック映画」というジャンルが崩壊し、 「怪獣プロレス」へと変貌を遂げます。 このカオスな転調についていけるかどうかが、 この映画を楽しめるかどうかの分水嶺です。 (私はポカーンと口を開けたまま、思考停止しました)
なぜか挿入される青春要素と下ネタ
カブトガニの脅威と並行して描かれるのが、 高校生たちの甘酸っぱい青春ドラマと、下品な下ネタです。
プロムナイト(ダンスパーティー)での出来事を中心に物語が進むのですが、 「今、カブトガニが人を食ってるのに、お前らは何を揉めているんだ」 とイライラすること必至。
しかし、このどうでもいい人間ドラマがあるからこそ、 カブトガニが乱入してきた時の「ざまあみろ」感が際立つのです。 リア充たちがカブトガニの餌食になるシーンは、 非リア充の観客にとって、最高のご褒美と言えるでしょう。
結論:カブトガニへの風評被害が心配になるレベル
『キラーカブトガニ』は、 映画としての完成度は低いです。 脚本は穴だらけ、演技は大根、特撮はチープ。
しかし、不思議と憎めない「愛嬌」があります。 作り手が「こういうのがやりたいんだよ!」と叫びながら作っている姿が目に浮かぶからです。
サメ映画に飽きた人。 理路整然としたストーリーに疲れた人。 そして、カブトガニの裏側をじっくり観察したい変人。
そんなあなたには、この映画が刺さるかもしれません。 ただし、過度な期待は禁物です。
80分という短い上映時間ですが、 体感時間は3時間くらいに感じるかもしれません。 それが「時間泥棒」と呼ばれる所以です。
次に水族館へ行く時は、 カブトガニの水槽の前で、敬礼したくなることでしょう。
作品情報

小林 祐太
TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。
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