映画『スカイ・シャーク』ネタバレなし感想・評価|空飛ぶサメ×ナチスゾンビ!全方位に喧嘩を売るカオス映画【レビュー】
映画『スカイ・シャーク』ネタバレなし感想・評価。「サメが空を飛び、ナチスのゾンビが乗っている」という、B級映画の要素を全部乗せした闇鍋ムービー。ゴア描写満載、倫理観ゼロのジェットコースター体験。
悪夢のような「全部乗せ」ラーメン
「サメ映画」というジャンルは、すでに飽和状態です。 トルネードに乗ったり、陸を泳いだり、頭が増えたり。 もう何が来ても驚かない……そう思っていました。
甘かった。 私の想像力なんて、ドイツの狂気の前では赤子同然でした。
本作は、サメ映画であり、ゾンビ映画であり、ナチス映画であり、戦争アクションです。 好きな具材を全部入れたら美味しくなるはずだ、という小学生のような発想。 しかし、その調理法はあまりに雑で、暴力的。
開始数分で繰り広げられるゴア描写の嵐に、私は悟りました。 「あ、これ、まともな神経で観ちゃいけないやつだ」と。
倫理観のブレーキが壊れている
飛行中の旅客機が襲われるシーン。 ここだけで、普通の映画一本分の血漿(けっしょう)を使っているんじゃないかと思うほどの出血量。 乗客たちが次々とミンチにされていきます。
しかも、その描写に一切の容赦がない。 子供だろうが老人だろうが、平等に餌食になります。 「え、そこまでやる?」と引くレベルです。
監督は、観客を怖がらせたいのか、笑わせたいのか、それともただ不快にさせたいのか。 おそらく、その全部でしょう。 この悪趣味なエネルギーには、ある種の敬意すら覚えます。 (ただし、食事中に観るのは絶対にやめましょう。後悔します)
映像クオリティの乱高下
本作の映像は、不思議なバランスで成り立っています。
| 評価項目 | 評価 |
|---|---|
| クリーチャー造形 | 意外と凝っている |
| CGエフェクト | プレステ2レベルが混じる |
| グロ描写 | 無駄に高精細 |
【解説】 空飛ぶサメ(キカイダーのような改造サメ)のデザインや、それに乗るナチスゾンビのメイクは、妙に手が込んでいます。 特殊メイクや造形物に対する、偏執的な愛情を感じます。 「カッコイイだろ?」という作り手のドヤ顔が見えるようです。
しかし、背景の合成や爆発エフェクトになると、急にチープになる。 この落差が凄まじい。 「予算をかける場所、間違ってない?」とツッコミを入れるのが、本作の正しい鑑賞作法です。 カメオ出演で日本のデビット伊東などが出ているのも、謎のカオス感を加速させています。 なぜ彼がそこにいるのか? 考えるだけ無駄です。
ストーリー?そんなものは飾りです
一応、物語らしきものはあります。 過去の因縁、父と子の確執、世界を救うための作戦会議……。
でも、そんなものはサメが飛んできたら全部吹き飛びます。 会話シーンが無駄に長いのが玉に瑕(きず)。 登場人物たちが深刻な顔で語り合えば語り合うほど、状況のバカバカしさが際立ちます。
「早くサメを出せ!」と叫びたくなりますが、いざサメが出ると「もうやめて!」と言いたくなる惨状。 この映画に論理的な展開を求めてはいけません。 ただひたすら、スクリーン(というかスマホ画面)を埋め尽くす「赤色」と「狂気」を浴びるだけの時間です。
豪華すぎるカメオ出演の無駄遣い
キャストリストを見てください。 『キャンディマン』のトニー・トッド。 『モータル・コンバット』のケイリー=ヒロユキ・タガワ。 B級ホラー界のレジェンドたちが、なぜかこの惨劇に参加しています。
彼らが真面目な顔で「空飛ぶサメが……」と語るシーンは、シュールを通り越して感動的です。 「仕事選んでください」と言いたいけれど、彼らもまた、この狂宴を楽しんでいるようにも見えます。 ベテラン俳優たちの「無駄遣い」こそ、B級映画における最高の贅沢なのかもしれません。 彼らの出演料でCGをもっと良くできたのでは? という疑問は飲み込みましょう。
他作品との比較:『アイアン・スカイ』との違い
ナチス×SFといえば『アイアン・スカイ』が有名ですが、あちらにはまだ「風刺」という知性がありました。 しかし本作には、知性が欠片もありません(褒めています)。
あるのは「勢い」と「ゴア」だけ。 『シャークネード』のような「陽気なバカ映画」を期待すると、その陰湿な暴力性に火傷します。 どちらかと言えば、『武器人間』のような悪趣味系に近いテイスト。 観る人を選ぶ、いや、観る人を試す踏み絵のような映画です。
結論:劇薬を欲しているあなたへ
正直、万人に勧める映画ではありません。 9割の人にとっては「時間の無駄」であり「不快な映像」でしょう。
しかし、もしあなたが、綺麗に整ったハリウッド大作に飽き飽きしていて、 「脳みそが溶けるような劇薬」を求めているなら。 『スカイ・シャーク』は、その渇きを癒やす(あるいはさらに酷くする)一本になるかもしれません。
ただし、鑑賞後の気分の悪さについては、私は一切責任を持ちません。 自己責任で、この地獄のフライトに搭乗してください。 エチケット袋の準備をお忘れなく。
作品情報

小林 祐太
TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。
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