映画『デッド寿司』ネタバレなし感想・評価|空飛ぶ殺人寿司に、松崎しげるが歌う。日本の恥(誉)ここにあり【レビュー】
映画『デッド寿司』ネタバレなし感想・評価。井口昇監督が放つ、狂気の寿司パニック映画。寿司が人を襲い、女子高生がカンフーで戦う。海外が誤解した日本を、日本人が全力で再現した怪作。
日本の食文化への冒涜? いいえ、これは愛です
「寿司が人を襲う」 この企画書を通したプロデューサーの正気を疑います。 しかし、完成した映画はもっと狂っていました。
マグロが鋭利な刃物となって飛び交い、 イクラが手榴弾のように爆発し、 イカが顔面に張り付いて窒息させる。
これぞクールジャパン。 これぞオモテナシ。
海外の人が抱く「Mysterious Japan」のイメージを、 悪ノリで100倍に希釈して煮詰めたような世界観。 日本人が観ると、「違うそうじゃない」と言いたくなりますが、 そのツッコミこそが、この映画の正しい楽しみ方なのです。
武田梨奈の無駄遣い(最高)
主演は、空手少女として有名な武田梨奈。 彼女のアクションは本物です。 キレのあるハイキック、重みのある正拳突き。
本来なら、本格的なカンフー映画で輝くべき才能です。 しかし、彼女が戦う相手は「寿司」です。
ヌンチャクで巻物を叩き落とし、 回し蹴りで稲荷寿司を粉砕する。 その真剣な眼差しと、ふざけた敵とのギャップが、 唯一無二の「バカカッコよさ」を生み出しています。
特に、寿司とキスをして油断させる(?)謎の必殺技には、 脚本家の脳内をMRIで検査したくなりました。
寿司たちの鳴き声「ニャー」
この映画の最大の謎。 それは、襲ってくる寿司たちが「ニャー」と鳴くことです。
なぜ? 猫? 魚だから? 説明はありません。 とにかく、可愛い声で「ニャー」と鳴きながら、 人間の喉を食い破りにくるのです。
CGで描かれた寿司たちの動きも、妙に生物的で気持ち悪い。 シャリが足のようにワサワサと動く姿は、 ゴキブリを連想させて生理的嫌悪感を催します。
(深夜の回転寿司で、ネタが動いたような幻覚を見るようになりました)
| ネタ | 攻撃方法 | 危険度 |
|---|---|---|
| マグロ | 鋭利な突進、切断 | ★★★★☆ |
| イクラ | 爆発、集合体恐怖 | ★★★★★ |
| 玉子 | 甘い罠、押し潰し | ★★★☆☆ |
【解説】 特にイクラの描写はトラウマ級です。 人間の皮膚に産み付けられたイクラが孵化し、体内を食い荒らす。 『エイリアン』へのオマージュでしょうが、 食材でやられると食欲へのダメージが深刻です。 集合体恐怖症の人は、画面を直視してはいけません。
松崎しげるという名のスパイス
そして、とどめは松崎しげるです。 本人役(?)で登場し、あの美声を披露します。
寿司が飛び交う地獄絵図の中で、 朗々と歌い上げる松崎しげる。 黒い肌と、白いシャリのコントラスト。
意味がわかりません。 でも、なんか感動するから悔しい。
彼の存在が、このB級映画に、 謎の「メジャー感」と「説得力」を与えてしまっています。 大御所の仕事選ばなさに、敬意を表するしかありません。
エロスとグロテスクの悪魔合体
井口昇監督の真骨頂とも言えるのが、 「気持ち悪いけど、ちょっとエッチ」な描写です。
寿司を口移しするシーンの、 ネチョっとした音と映像。 米粒一つ一つが、妙に艶かしく光っています。
「食欲」と「性欲」と「吐き気」。 この3つを同時に刺激される感覚は、 他の映画では絶対に味わえません(味わいたくもありませんが)。
見終わった後、 寿司を見る目が変わってしまうこと請け合いです。 「あ、こいつ今、俺を誘ってる?」 そう思ったら、もう手遅れです。
結論:間違った日本を、正しく楽しむ
『デッド寿司』は、 「トンデモ日本」を日本人が自ら演じるという、高度な自虐ギャグ映画です。
海外の映画祭で大ウケしたというのも頷けます。 「日本人は頭がおかしい(褒め言葉)」と思わせるには十分な破壊力。
真面目な寿司職人が観たら激怒するでしょう。 しかし、エンターテイメントとしては一級品です。
友達と集まって、宅配寿司を囲みながら観てください。 きっと、いつもよりワサビが目に沁みるはずです。 (寿司が動き出さないか、確認しながら食べてくださいね)
作品情報

小林 祐太
TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。
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