映画『キラー・ジーンズ』ネタバレなし感想・評価|殺人パンツが踊り狂う。アパレル店員の悲鳴と腰振りが止まらない【レビュー】
映画『キラー・ジーンズ』ネタバレなし感想・評価。誰も履いていないジーンズが勝手に動き出し、人を絞め殺す!アパレル業界の闇を風刺した(つもりの)B級ホラー。ジーンズのダンスは必見。
ファストファッションへの警鐘? いいえ、ただの悪ふざけです
「どんな体型にもフィットする魔法のジーンズ」 アパレル店員なら喉から手が出るほど欲しい商品コピーです。
しかし、この映画のジーンズは、物理的に「フィット」しすぎます。 試着した客の下半身を締め付け、切断し、飲み込むまでフィットします。
「アパレル業界の過酷な労働環境や、消費社会の闇を描いた社会派ホラー」 ……という触れ込みですが、騙されてはいけません。
確かにそういう要素はありますが、 画面に映っているのは「無人のジーンズがトコトコ歩いている」映像です。
シリアスなテーマを語ろうとすればするほど、 映像のシュールさが際立ち、笑いが込み上げてきます。
ジーンズの「生態」が興味深い
この殺人ジーンズ、ただ人を殺すだけではありません。 なんと、インド映画のようなダンスを踊ります。
誰も履いていないジーンズが、音楽に合わせて腰を振る。 (腰なんてないのに) その動きが妙にセクシーで、リズム感も抜群。
さらに、血を吸って赤く染まったジーンズが、 仲間のジーンズたちを扇動し、店員たちを襲わせる。
「ジーンズの群れ」というパワーワード。 店内をカサカサと這い回る大量のデニム生地。 これを見て恐怖を感じるか、 「セール会場かな?」と思うかで、あなたの感性が試されます。
意識高い系ブランドへの痛烈な皮肉
舞台となるブランド「CCC」は、 「環境に優しい」「倫理的」を謳う意識高い系企業です。 しかし裏では、劣悪な環境で労働者を酷使している。
店長やマネージャーたちの、 表面上はキラキラしているけど中身は腐っている言動が、 リアルすぎて逆に怖いです。
「私が死んだら、この店の売上はどうなるの!?」 同僚がジーンズに食われている横で、売上を気にする店長。 社畜を通り越して、資本主義のモンスターです。
殺人ジーンズよりも、こういう人間の方が怖い。 ……と、思わせたいのでしょうが、 やっぱりジーンズが人を食う絵面のインパクトには勝てません。
| 登場人物 | 役職 | 社畜度 |
|---|---|---|
| 主人公(リビー) | 新人 | ★★☆☆☆ |
| 店長(クレイグ) | 狂人 | ★★★★★ |
| ジーンズ | 商品 | 殺意MAX |
【解説】 このジーンズがなぜ殺人鬼になったのか。 その理由は後半で明かされますが、 意外と重い、というか救いようのない理由です。 「フェアトレードって大事だね」と一瞬だけ思いますが、 次の瞬間にはジーンズが人を絞め殺しているので、考えるのをやめました。
試着室という密室の恐怖
ホラー映画において、試着室は最高のシチュエーションです。 狭い、逃げ場がない、外から見えない。
そこに殺人ジーンズが忍び込む。 ファスナーがゆっくりと上がる音。 布が擦れる音。
「ジーンズに殺される」という間抜けな死に方ですが、 シチュエーションだけ見れば一級のサスペンスです。
ただ、死体が発見された時の状態が、 「下半身だけジーンズに食べられて消滅している」 というマネキンのような姿なので、やっぱり笑えます。
結論:スキニーを履くのが怖くなる(嘘)
『キラー・ジーンズ』は、 ワンアイデアを77分でやり切った快作です。
アパレル店員の方は、 「あるある」と共感できる部分(客や上司の理不尽さ)と、 「ねーよ」とツッコミたい部分(ジーンズの殺人)が入り混じり、 複雑な感情になるでしょう。
一般の方にとっては、 「服を大切にしよう」という教訓を得られるかもしれません。
次にユニクロやZARAに行った時、 畳まれたジーンズが少し動いた気がしたら、 迷わず逃げてください。 彼らは、あなたのサイズを測っているのです。
作品情報

小林 祐太
TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。
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