Disney+『SHOGUN 将軍』
「どうせハリウッドの勘違い日本でしょ?」という偏見は、開始5分で切腹させられます。真田広之の執念が生んだ、歴史的傑作。ただし、疲れます。
60秒で結論買うべき?観るべき?
GOOD
圧倒的な映像美と「本物」の日本描写
BAD
情報の洪水で脳が疲労する
偏見は、開始5分で叩き斬られる
正直に白状します。 観る前は、「どうせハリウッドがおふざけで作ったナンチャッテ日本でしょ?」と、斜に構えていました。 サムライが謎のカンフーアクションをしたり、芸者がピンクの着物を着ていたりするアレです。
しかし、再生ボタンを押して5分後。 私は自分の浅はかさを恥じ、画面の前で正座をしていました。 (真田さん、疑ってごめんなさい)
そこにあったのは、血と泥、そして死の匂いが漂う、狂気的なまでにリアルな戦国時代。 衣装のほつれ一本、畳のヘリの踏み方に至るまで、一切の妥協がない「本物」でした。 昨今の地上波ドラマが「学芸会」に見えてしまうほど、その映像密度は圧倒的です。
没入しすぎて「目が乾く」
ただし、手放しで万人におすすめできるかと言うと、そうではありません。 ストーリーは複雑怪奇で、政治的な駆け引きが延々と続きます。 日本語と英語が入り乱れ、字幕を追う目は乾き、脳みそはフル回転。
「週末にビール片手に気楽に観よう」なんて思って再生すると、痛い目を見ます。 あまりに画面から放たれる「気迫」が凄まじく、瞬きをするのも惜しいのです。 これはエンタメというより、歴史の奔流に飲み込まれる「苦行」に近いかもしれません。
本作を構成する「異常な執念」
なぜこれほどまでに評価されているのか。 それは、主演でありプロデューサーでもある真田広之氏の執念が、作品の隅々まで行き渡っているからです。
| 評価項目 | 評価 |
|---|---|
| 脚本 | 重厚で難解 |
| 映像美 | 映画レベル |
| 日本語 | 美しい |
| 疲労度 | かなり高い |
【解説】 特筆すべきは「日本語の美しさ」です。 現代劇のような軽い喋り言葉ではなく、腹の底から響くような重厚な時代言葉。 字幕など不要なはずなのに、言葉選びがあまりに美しく、かつ難しいため、ついつい文字を目で追ってしまいます。 これこそが、我々日本人が本来持っていたはずの「美意識」なのかもしれませんが、現代人の脳には少々カロリーが高すぎます。
視聴後に残る「心地よい疲労感」
見終わった後、私はしばらくソファから動けませんでした。 素晴らしい映画を一本観終わった時のような、心地よい疲労感。 そして、「すごいものを観てしまった」という興奮。
誰かに語りたいけれど、安っぽい言葉でこの感動を汚したくない。 そんな不思議な感覚に陥りました。 (とりあえず、日本のテレビ局関係者は全員、これを観て反省会を開くべきだと思います)
結論:覚悟のある人だけ観てください
「歴史モノが好き」「重厚なドラマに浸りたい」。 そんな人には、文句なしの傑作です。 食わず嫌いでこれをスルーするのは、人生の損失と言っても過言ではありません。
しかし、「スカッとしたい」「わかりやすい話が好き」という人には、ただの退屈で難しい話に感じるでしょう。 自分のコンディションが良い時に、覚悟を決めて再生することをお勧めします。 82点。作品の質は満点ですが、観る人を選ぶ敷居の高さで減点しました。
作品情報

小林 祐太
TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。
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