HOME/CINEMA/ 2025-12-20

Disney+『SHOGUN 将軍』

「どうせハリウッドの勘違い日本でしょ?」という偏見は、開始5分で切腹させられます。真田広之の執念が生んだ、歴史的傑作。ただし、疲れます。

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SCORE
RANKA

60秒で結論買うべき?観るべき?

GOOD

圧倒的な映像美と「本物」の日本描写

BAD

情報の洪水で脳が疲労する

偏見は、開始5分で叩き斬られる

正直に白状します。 観る前は、「どうせハリウッドがおふざけで作ったナンチャッテ日本でしょ?」と、斜に構えていました。 サムライが謎のカンフーアクションをしたり、芸者がピンクの着物を着ていたりするアレです。

しかし、再生ボタンを押して5分後。 私は自分の浅はかさを恥じ、画面の前で正座をしていました。 (真田さん、疑ってごめんなさい)

そこにあったのは、血と泥、そして死の匂いが漂う、狂気的なまでにリアルな戦国時代。 衣装のほつれ一本、畳のヘリの踏み方に至るまで、一切の妥協がない「本物」でした。 昨今の地上波ドラマが「学芸会」に見えてしまうほど、その映像密度は圧倒的です。

没入しすぎて「目が乾く」

ただし、手放しで万人におすすめできるかと言うと、そうではありません。 ストーリーは複雑怪奇で、政治的な駆け引きが延々と続きます。 日本語と英語が入り乱れ、字幕を追う目は乾き、脳みそはフル回転。

「週末にビール片手に気楽に観よう」なんて思って再生すると、痛い目を見ます。 あまりに画面から放たれる「気迫」が凄まじく、瞬きをするのも惜しいのです。 これはエンタメというより、歴史の奔流に飲み込まれる「苦行」に近いかもしれません。

BEYOND THE 60 SECONDSここから先は、深掘りレビュー。
Technical Review

本作を構成する「異常な執念」

なぜこれほどまでに評価されているのか。 それは、主演でありプロデューサーでもある真田広之氏の執念が、作品の隅々まで行き渡っているからです。

評価項目評価
脚本重厚で難解
映像美映画レベル
日本語美しい
疲労度かなり高い

【解説】 特筆すべきは「日本語の美しさ」です。 現代劇のような軽い喋り言葉ではなく、腹の底から響くような重厚な時代言葉。 字幕など不要なはずなのに、言葉選びがあまりに美しく、かつ難しいため、ついつい文字を目で追ってしまいます。 これこそが、我々日本人が本来持っていたはずの「美意識」なのかもしれませんが、現代人の脳には少々カロリーが高すぎます。

視聴後に残る「心地よい疲労感」

見終わった後、私はしばらくソファから動けませんでした。 素晴らしい映画を一本観終わった時のような、心地よい疲労感。 そして、「すごいものを観てしまった」という興奮。

誰かに語りたいけれど、安っぽい言葉でこの感動を汚したくない。 そんな不思議な感覚に陥りました。 (とりあえず、日本のテレビ局関係者は全員、これを観て反省会を開くべきだと思います)

結論:覚悟のある人だけ観てください

「歴史モノが好き」「重厚なドラマに浸りたい」。 そんな人には、文句なしの傑作です。 食わず嫌いでこれをスルーするのは、人生の損失と言っても過言ではありません。

しかし、「スカッとしたい」「わかりやすい話が好き」という人には、ただの退屈で難しい話に感じるでしょう。 自分のコンディションが良い時に、覚悟を決めて再生することをお勧めします。 82点。作品の質は満点ですが、観る人を選ぶ敷居の高さで減点しました。

作品情報

時間全10話
視聴難易度高い
家族向け要確認
配信Disney+
小林 祐太
WRITTEN BY

小林 祐太

TV60編集長。脚本構造と映像技術の分析に基づいた『構造批評』を得意とする。ガジェットレビューでは、スペック数値よりも『生活への定着度』を重視し、最低1ヶ月以上の実使用を経た上での評価を徹底している。

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